第9章
目次
Chapter structure
キーワード
孤独 / つながりやわかちあいの難しさ / つながりの構築 / つなぎ手 / セルフヘルプ / 居場所 / ホールディング / 安心 / 危機介入 / ACT(包括型地域生活支援プログラム) / 主体的 / リカバリー / 三角形の対話 / 認知行動療法 / ナラティヴ・アプローチ / 外在化 / 総合病院 / 他職種との連携 / うつ病 / 痛み / 適応障害 / 身体症状症 / NRS / 生活行動表 / 外在化 / 三項関係 / 慢性疼痛 / 破局化思考 / 抑うつ気分 / 精神運動制止 / 躁病 / 双極性障害 / 重症度 / 再発 / うつ病 / 反復性うつ病 / 認知行動療法 / 行動活性化 / 孤独感 / 早期警告サイン / 就労継続支援B型 / 就労移行支援 / 就労支援 / 相談支援 / 生活保護 / 退院促進事業 / 心理的課題 / 枠組み / 個別支援計画 / 障害年金 / 関係性 / 生きる力を引き出していく / 福祉事務所 / 企業啓発 / ネットワーク / ファシリテーター
Quiz クイズ
Q9.1 精神障害のある人への支援に関する次のa. ~ c. は正しいかどうか,○×で答えてみよう。
a. 精神障害の治療は,精神科病院・クリニックだけでなく,総合病院で行われることもある。
b. 精神障害のある人は,障害年金のような経済支援,就労支援,施設入所支援など,さまざまな福祉サービスを受けられる。
c. 精神障害への偏見を軽減するための啓発も,心理職の役割の1つである。
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★Q9.2 次の精神障害についての説明のうち,誤っているのはどれでしょうか。
a. アメリカより日本のほうがうつ病になる人が多い。
b. うつ病になる大半は青年期である。
c. 男性のほうが女性よりもうつ病にかかりやすい。
d. DSM-5において,うつ病と双極性障害は気分障害のカテゴリーに位置づけられる。
Exercise エクササイズ
9.1 本文を読み,以下のことを議論してみよう。
A. くに印象的だったエピソードややりとりはどこでしょうか。そのエピソードややりとりについて,どのようなことを感じましたか。
B. 心理職が行っている対応で,あなたが大切だと思うところはどこでしょうか。なぜそう思いましたか。
9.2 “頑張れ”って言っちゃダメ?:うつ病の症状によって思考力や判断力,行動力が制限されていると,傍目には何もしていないように映り,周囲の人は心配や不安からつい励ましてしまいがちですが,本人の実感とギャップのある励ましは自責感を強め,「やっぱり頑張りが足りないんだ」と抑うつ的な思考を強めてしまうリスクがあります。
しかし,励まさないことを原則としつつ,「『何』を励ましてはならないか」「励まされることがどのように体験されるか」に思いをめぐらすことが重要であり,ケースによっては適切な励ましを行うことが治療的なこともあります(青木,2007)。
皆さんが励まされて嬉しかった/役に立った場合と,嫌だった/かえって悪影響だった場合とを振り返り,シェアしてみよう。
(参考文献:青木省三(2007).『精神科臨床ノート』日本評論社)
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★9.3 精神障害のある人の支援の現場について知ろう:あなたの住んでいる地域にある,精神障害のある人の支援の現場について調べてみよう。
★9.4 心理職はどのようにかかわるのか:9章では,医療領域での心理職のかかわりと,地域社会での心理職のかかわりの事例がそれぞれ描かれていました。以下のA.B.について自分の考えをまとめ,話し合ってみよう。
A. それぞれの心理職のかかわりで,心理職の姿勢や働きかけ,声掛けなどにはどのような違いがありましたか。
B. 反対に,同じだ,似ていると感じたところはどこだったでしょうか。
引用・参照文献
- 青木省三(2007).『精神科臨床ノート』日本評論社
- Deegan, P. E.(1988). Recovery: The lived experience of rehabilitation. Psychosocial Rehabilitation Journal, 11 (4), 11-19.
- 石川ひろの(2020).「Shared Decision Makingの可能性と課題――がん医療における患者・医療者の新たなコミュニケーション」『医療と社会』30 (1),77-89.
- 伊藤絵美(2011).『ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1』医学書院
- 伊藤順一郎(2012).『精神科病院を出て,町へ――ACTがつくる地域精神医療』岩波書店
- 伊藤伸二・国重浩一編著(2018).『どもる子どもとの対話――ナラティヴ・アプローチがひきだす物語る力』金子書房
- 岩壁茂・福島哲夫・伊藤絵美(2013).『臨床心理学入門――多様なアプローチを越境する』有斐閣
- 神田橋條治(1997).『対話精神療法の初心者への手引き』花クリニック神田橋研究会(2009,再版)
- 小池進介・西田淳志・山崎修道・安藤俊太郎(2012).「Nature誌編集長Philip Campbell氏に聞く『精神疾患のための10年(A Decade for Psychiatric Disorders)』」『精神神経学雑誌』114 (5),508-516.
- 松本俊彦(2018).『薬物依存症』筑摩書房
- 水野雅文・藤井千代・佐久間啓・村上雅昭編(2018).『リカバリーのためのワークブック――回復を目指す精神科サポートガイド』中央法規出版
- 水野泰行(2010).「慢性疼痛と破局化」『心身医学』50 (12),1133-1137.
- 村瀬嘉代子(主任研究者)(2015).「心理職の役割の明確化と育成に関する研究」『厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業 平成26年度総括・分担研究報告書』
- 中嶋義文(2015).「心理職の役割の明確化と育成に関する研究〔分担研究課題〕一般病院・医療・保健施設(精神科病院・精神科診療所を除く)における心理職実態調査」『厚生労働科学研究成果データベース』
- Saunders, C. ; with an introduction by David Clark (2006). Cicely Saunders: Selected writings 1958-2004. Oxford University Press.(ソンダース,C. M./小森康永訳(2017).『シシリー・ソンダース初期論文集1958-1966――トータルペイン 緩和ケアの源流をもとめて』北大路書房)
- 進藤義夫(2002).「地域精神保健福祉ネットワークづくり」沢崎俊之・中釜洋子・齋藤憲司・高田修編著『学校臨床そして生きる場への援助』日本評論社
- 滝川一廣(2017).『子どものための精神医学』医学書院
- ウルル(2020).「私の見ている世界」『統合失調症のひろば』16,24-25.