- 序章 国際協力と世界
・第2次世界大戦までに日本が世界のどんな地域を植民地としたのか調べてみましょう。その当時の言論界の人々はどのような議論をしていたでしょうか。新渡戸稲造,矢内原忠雄といった人たちの意見が参考になるかもしれません。
・後発開発途上国(Least Developed Countries)にはどんな国があるでしょうか。これらの国々の中で知っている国があるでしょうか。その国で起こったこと,またはその国出身の著名人を知っていますか。
- 第1章 暴力
・「暴力」とは何でしょうか。「暴力」に何が含まれるか,考えてみてください。
・途上国の国づくりには,どんな困難があるでしょうか。途上国を1つ選び,その国が独立後どのような歴史を辿ったか,調べてみましょう。
- 第2章 貧困と不平等
・貧困とはどのようなことを意味するのか,考えてみましょう。所得や資産が少ないという以外にどのような貧困があるか,書き出してみましょう。さらに,貧困と不平等の違いと関係性についても考えてみましょう。
・国連の国際租税協力枠組条約(United Nations Framework Convention on International Tax Cooperation)に関連する2024年8月の決議に反対票を投じたのはアメリカ,イギリス,オーストラリア,カナダ,ニュージーランド,イスラエル,日本,韓国の8カ国のみであり,多くの途上国は賛成票を投じました(詳細はこちら)。同条約は,多国籍企業に対する公平な課税や,富裕層による脱税・租税回避への対応を目指しています。なぜ途上国が賛成し,高所得国が反対しているのか,考えてみましょう。
- 第3章 ジェンダー平等
・1979年に採択された「女性差別撤廃条約」を読んでみましょう。また,同条約の実施状況に関する日本政府の第9回定期報告に対し,国連女性差別撤廃委員会による審査が2024年10月に終了し,総括所見が発表されました(概要はこちら,全文はこちらから読むことができます)。途上国における課題を学ぶ前に,日本ではどのような点で女性差別が存在するか,考えてみましょう。
・2025年1月に就任したドナルド・トランプ・アメリカ大統領は,それまでの連邦政府における多様性・公平性・包摂性(Diversity, Equity and Inclusion: DEI)の取り組みを終了する大統領令に署名し,民間企業へも同様の働きかけをしています。多様性・公平性・包摂性とは何であるか,その推進を逆行するとは何を意味するのか,考えてみましょう。DEIに関する国連システムの取り組みはこちらのウェブサイトから見ることができます。
- 第4章 子どもの権利保障
・自分が関心を持っている国や地域における子どもの教育や暴力からの保護についての課題,現地の政府や民間団体による取り組み,日本政府や日本のNGOなどによる取り組みについて調べてみてください。
・国際協力における子どもの権利ベースのアプローチとはどのようなものなのか考えてみてください。
- 第5章 高齢者と障害者
・開発途上国の高齢者について学ぶ前に,日本の高齢者について予習してみましょう。家族に高齢者はいますか。年金を受けておられるでしょうか。どのぐらいの頻度で,どのぐらいの額を受給しておられるでしょうか。高齢者になると医療費,バス・タクシー利用等でどのような優遇があるでしょうか。
・国連の「障害者の権利条約」の中身を調べてみましょう。どのような条項が設けられているでしょうか。
- 第6章 保健と感染症
・ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (Universal Health Coverage: UHC)について調べてみましょう。UHCは日本政府が推進している概念でもあるので,外務省,厚生労働省,JICAが紹介しています(リンクをクリックしてみてください)。World Health Organization (WHO)も,これを推進しています。
・新型コロナウイルスが蔓延したのは2020年,2021年が中心でした。あの頃,何があったか思い出してください。どんな対策を取ったから,世界的な蔓延が治まったのでしょうか。手指消毒,換気,ワクチン接種といった感染予防,抗ウイルス剤等による治療がなされました。
- 第7章 環境と開発
・新聞記事のデータベースや報道機関のウェブページをチェックして,どのような環境問題がどの国で生じているのかについて,まとめてください(網羅的にまとめる必要はありません)。
・特定の問題について,どこの国でどのように報道されているか,あるいは,特定の国で報道されている複数の環境問題を取り上げ,共通点,相違点などをまとめてみてください。
外国で発行されている新聞等のサイトで検索することを推奨します。Google newsで「言語の地域」の設定を変えるなど,検索のしかたを工夫してみてください。また,大学図書館等の新聞記事に関するデータベース(Press Reader,Nexis Uni,ProQuest,日経テレコンなど)を利用して,検索してみてください。
- 第8章 国と国との協力
・外務省は,政府開発援助(ODA)がより広く認知されるように,ドラマ「ファーストステップ」(出演:白石聖,又吉直樹等。youtubeで視聴可能),ゲーム「ODAマンのあなたもODA」などを製作・公開しています。またJICAもYouTubeチャンネルで活動を紹介しています。視聴してみてください。
・JICAの海外協力隊について調べてみましょう。海外協力隊は英語でJapan Overseas Cooperation Volunteer (JOCV)と呼ばれますが,無給ではなく,JICAが渡航費や住居費,生活費等を負担します。リンクをクリックしてみてください。
- 第9章 国際機関の協力
・第1章から第7章で議論されている開発課題の中から関心のあるものを1つ選び,その課題を扱っている国連機関を探して,活動内容について調べてみましょう。主な国連諸機関のリスト(英語)はこちら,日本に事務所のある国連諸機関のリスト(日本語)はこちら。
・アジア,アフリカ,中南米,イスラム諸国の中から,自分の興味のある地域を1つ選び,その地域の開発に特化した国際金融機関について調べてみましょう。地域別ではなく「新興国」に興味がある人はBRICS Bankについて調べてみましょう。
- 第10章 市民社会による国際協力
・あなたが知っているNGO/市民社会組織(CSO)について,その歴史・理念・現在の活動を調べてみましょう。
・近年途上国(南)の市民がつくったNGO/CSOが急速に発達しています。日本をはじめ先進諸国のNGO/CSOが開発の現場に直接入って活動するべきでしょうか。それとも南のNGO/CSO主導の活動を先進諸国のNGO/CSOは側面から支援すべきでしょうか。それぞれの長所と課題をあげながら考えてみましょう。
- 第11章 企業による国際協力
・普段使っているスーパーマーケット,コンビニエンスストアなどに友人・家族などと行き,「フェアトレードマーク」のついている商品を3品目(3商品ではありません)探す競争をしてみましょう。たとえば複数のブランドにフェアトレードマークがついていても,「チョコレート」は1品目とみなします。
・ 日本国内で1960年以降に発生した商品不買(ボイコット)運動のどれか1つを取り上げ,
a) いつ起こったのか
b) 何(どうな商品,企業)がボイコットに対象になったのか
c) なぜボイコットされることになったのか(理由)
d) ボイコットに対して対象企業はどのような対応をしたのか
を調べてみましょう。
- 第12章 世界の国際協力潮流
・「開発」という言葉から,あなたは何をイメージしますか。そのイメージを書き出してみてください。
・「持続可能な開発目標」(SDGs)は,どんな経緯で出来たのでしょうか。調べてみましょう。
- 第13章 日本の国際協力潮流
・日本の『開発協力白書』各年版から,日本がどのような協力を行っているのか調べてみましょう。
・松本悟「開発協力大綱と軍関係へのODA供与――開発協力適正会議を通した2015年大綱運用の検証」『国際開発研究』第33巻1号,2024年,55~74頁,の「巻末表 軍関係に供与されたODA事業」から,これまでどのような日本のODAが,途上国の軍関係に供与されたかを見てみましょう(上のリンクをクリックして論文をダウンロードしてください)。
- 第14章 どのような社会をめざすのか
・持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標と169のターゲットにざっと目を通して,これから21世紀半ばまでに世界が達成すべき目標・ターゲットとして欠けているものがないか,考えてみましょう。目標とターゲットについては,英文はこちらのリンク,日本語訳はこちらから見ることができます。
・「ソーシャル・ビジネス」「地域通貨」「エコビレッジ」「産直提携運動」「トランジション・タウン」「農福連携」の中から1つ選び,それがどのような目的で実施され,どのような活動をさすのか,調べてみましょう。