改正情報 産業法部門

●金融商品取引法の一部改正(令和5・11・29法79)

1 有価証券とみなされる権利の範囲の見直し

不動産特定共同事業契約(当該不動産特定共同事業契約に基づく権利が,電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示されるものに限る。)に基づく権利を,有価証券とみなされる権利の定義に含めることとした。(2条関係)

2 四半期報告書制度廃止

(1) 上場会社に対する期中の業績等の開示について,現在の3か月ごとの開示から6か月ごとの開示に頻度を落とし(四半期報告書制度の廃止),上場会社に対して,四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付けることとし,四半期報告書の提出に関する規定を削除することとした。(5条,24条,24条の4の7,24条の4の8,24条の5,25条,166条関係)

(2) 参照方式の届出書,発行登録書類及び発行登録追補書類,半期報告書及び半期報告書の確認書並びに臨時報告書(これらの訂正書類も含む。)の公衆縦覧期間を5年に延長することとした。(25条関係)

3 標識に記載すべき事項のインターネットによる公表の義務付け等

上場会社等の株主は,,内閣総理大臣に対し,短期売買利益を得ていると認められる当該上場会社等の役員又は主要株主の商号,名称又は氏名に関する情報の提供を求めることができることとした。(164条,165条の2関係)

4 誠実公正義務の削除

金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律において,金融サービスの提供等に係る業務を行う者に対して,横断的に,顧客等に対する誠実義務の規定を新設することに伴い,金融商品取引法から,新設する規定と同趣旨の誠実公正義務に係る規定を削除することとした。(36条関係)

5 契約締結前等の顧客への情報の提供等に関する規定の整備

(1) 金融商品取引契約の締結前等における顧客に対する書面交付義務について電磁的方法を含む情報提供義務に改めることとした。

(2) 金融商品取引業者等は,契約締結前に顧客に対し情報の提供を行うときは,顧客の知識,経験,財産の状況及び当該金融商品取引契約を締結しようとする目的に照らして,当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度により,説明をしなければならないこととした。(37条の3,37条の4,37条の6,40条の2関係)

 

この改正は,令和6年11月1日(令和6・10・30政330)に施行される。なお,2の改正は令和6年4月1日から,5の改正は令和7年4月1日(令和7・2・7政29)に施行される。