改正情報 民事法部門

○公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部改正(令和6・5・22法29)

1 公益法人等の責務

(1) 公益法人は,公益目的事業の質の向上を図るため,運営体制の充実を図るとともに,財務に関する情報の開示その他のその運営における透明性の向上を図るよう努めなければならないこととした。(3条の2第1項関係)

(2) 国は,(1)の規定による公益法人の取組を促進するため,必要な情報の収集及び提供その他の必要な支援を行うこととした。(3条の2第2項関係)

2 公益認定の基準

以下の事項を公益認定の基準として定めることとした。

(1) 当該法人の行う公益目的事業について,5の(1)の規定による収支の均衡が図られるものであると見込まれるものであること。(5条6号関係)

(2) 各理事について,監事(監事が2人以上ある場合にあっては,各監事)と特別利害関係を有しないものであること。(5条12号関係)

(3) 理事のうち1人以上が,当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人でなく,かつ,その就任の前10年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること(毎事業年度における当該法人の収益の額,費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は,この限りでない。)。(5条15号関係)

(4) 監事(監事が2人以上ある場合にあっては,監事のうち1人以上)が,その就任の前10年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。(5条16号関係)

3 欠格事由

公益法人が公益認定を取り消された場合に係る公益認定の欠格事由から,公益法人から公益認定の取消しの申請があったときに係るものを除外することとした。(6条関係)

4 公益法人の事業活動等

(1) 公益目的事業の収入及び費用

公益法人は,公益目的事業を行うに当たっては,当該事業に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該事業を充実させるため将来において必要となる資金として内閣府令で定める方法により積み立てる資金を含む。)に充てることにより,内閣府令で定める期間において,その収支の均衡が図られるようにしなければならないこととした。(14条関係)

(2) 使途不特定財産額の保有の制限

① 遊休財産額の名称を使途不特定財産額と改め,使途不特定財産額の算定対象から公益目的事業継続予備財産(災害その他の予見し難い事由が発生した場合においても公益目的事業を継続的に行うために必要な限度において保有する必要があるものとして内閣府令で定める要件に該当する公益目的事業財産)を除外するとともに,公益法人の毎事業年度の末日における使途不特定財産額の保有に係る基準額の算定について,当該公益法人が当該事業年度前の事業年度において行った公益目的事業の実施に要した費用の額を基礎とすることとした。(16条1項及び2項関係)

➁ 公益法人は,毎事業年度の末日において公益目的事業継続予備財産を保有している場合には,翌事業年度開始後速やかに,当該財産を保有する理由及びその額その他内閣府令で定める事項を公表しなければならないこととした。(16条3項関係)

(3) 公益目的事業財産等

公益目的事業財産及び公益目的取得財産残額の算定方法に係る規定を整備することとした。(18条及び30条関係)

(4) 区分経理

公益法人は,公益目的事業に係る経理,収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならないこととした。ただし,収益事業等を行わない公益法人であって,その行う公益目的事業の内容その他の事項に関し内閣府令で定める要件に該当するものについては区分経理を要しないこととし,当該公益法人にあっては,その運営に必要な財産以外の財産を公益目的事業のために使用し,又は処分しなければならないこととした。(19条関係)

 

この改正は令和7年4月1日(令和6・10・30政322)に施行される。