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○警察法の一部改正(令和4・3・31法6)

…昨今のサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化にともない,国家公安委員会・警察庁の所管事務に重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する事務等を追加等された改正。

Ⅰ.国家公安委員会・警察庁等の活動に関する規定等の整備

 サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法2条参照)が害されることその他情報技術を用いた不正な行為により生ずる個人の生命,身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し,又は害するおそれのある事案(サイバー事案)で次のいずれかに該当するもの(重大サイバー事案)に対処するための警察の態勢に関する事務を,国家公安委員会及び警察庁の所掌事務に追加することとされた(5条4項6号関係)。
(1) 次の事務又は事業の実施に重大な支障が生じ,又は生ずるおそれのある事案
(ⅰ) 国又は地方公共団体の重要な情報の管理又は重要な情報システムの運用に関する事務
(ⅱ) 国民生活及び経済活動の基盤であって,その機能が停止し,又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業
(2) 高度な技術的手法が用いられる事案その他のその対処に高度な技術を要する事案
(3) 国外に所在する者であってサイバー事案を生じさせる不正な活動を行うものが関与する事案
 国家公安委員会及び警察庁の所掌事務に,重大サイバー事案に係る犯罪の捜査その他の重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する事務を追加することとされた(5条4項16号関係)。
また,上記事務に関して必要な職務を行う警察庁の警察官は,警察法に特別の定めがある場合を除くほか,当該職務に必要な限度で職権を行うものとされた(64条関係)。

Ⅱ.広域組織犯罪等に対処するための措置に関する規定の整備

 警察庁長官は,重大サイバー事案について警察庁と都道府県警察が共同して処理を行う必要があると認めるときは,当該重大サイバー事案の処理に関する方針を定め,警察庁又は関係都道府県警察の一の警察官に,警察庁及び関係都道府県警察の警察職員に対して必要な指揮を行わせることができることとされた(61条の3第3項関係)。
 警察庁長官による広域組織犯罪等に対処するための態勢の指示により重大サイバー事案の処理に関して警察庁に派遣された都道府県警察の警察官は,国家公安委員会の管理の下に,当該重大サイバー事案の処理に必要な限度で,全国において,職権を行うことができることとされた(61条の3第4項関係)。

 この改正は令和4年4月1日より施行された。