改正情報 刑事法部門

少年法の一部改正(令和3・5・28法47)

1 特定少年の保護事件の特例
(1) 検察官への送致についての特例
① 家庭裁判所は,特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については,調査の結果,その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,決定をもって,これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならないこととした。(第62条第1項関係)
② ①の規定にかかわらず,家庭裁判所は,特定少年に係る次に掲げる事件については,①の決定をしなければならないものとし,ただし,調査の結果,犯行の動機,態様及び結果,犯行後の情況,特定少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときは,この限りでないこととした。(第62条第2項関係)
イ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって,その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
ロ 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であって,その罪を犯すとき特定少年に係るもの(イに該当するものを除く。)
(2) 保護処分についての特例
① 家庭裁判所は,不処分等の決定をする場合を除いて,審判を開始した事件につき,少年が特定少年である場合には,犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において,決定をもって,次のイからハまでに掲げる保護処分のいずれかをしなければならないものとし,ただし,罰金以下の刑に当たる罪の事件については,イの保護処分に限り,これをすることができることとした。(第64条第1項関係)
イ 6月の保護観察所の保護観察に付すること。
ロ 2年の保護観察所の保護観察に付すること。
ハ 少年院に送致すること。
② ①ロの保護観察においては,④に規定する場合に,④の決定により少年院に収容することができるものとし,家庭裁判所は,①ロの保護処分をするときは,その決定と同時に,1年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して④の決定により少年院に収容することができる期間を定めなければならないこととした。(第64条第2項関係)
③ 家庭裁判所は,①ハの保護処分をするときは,その決定と同時に,3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定めなければならないこととした。(第64条第3項関係)
④ 家庭裁判所は,審判の結果,①ロの保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり,その程度が重く,かつ,少年院において処遇を行わなければ本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは,これを少年院に収容する旨の決定をしなければならないものとし,ただし,④の決定により既に少年院に収容した期間が通算して②の規定により定められた期間に達しているときは,この限りでないこととした。(第66条第1項関係)
(3) その他
特定少年の保護事件について,ぐ犯をその対象から除外するほか,所要の規定の整備を行うこととした。(第65条関係)

 

2 特定少年の刑事事件の特例
特定少年の刑事事件について,第41条(司法警察員の送致),第49条第2項(取扱いの分離),第52条(不定期刑),第54条(換刑処分の禁止),第56条第1項及び第2項(懲役又は禁錮の執行),第58条(仮釈放),第59条(仮釈放期間の終了)並びに第60条(人の資格に関する法令の適用)の規定は適用しないものとするほか,所要の規定の整備を行うこととした。(第67条関係)

 

3 特定少年の記事等の掲載の禁止の特例
特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合には,略式手続による場合を除き,記事等の掲載の禁止に関する少年法の規定を適用しないこととした。(第68条関係)

 

この改正は,令和4年4月1日から施行される。