日本国憲法の改正手続に関する法律の一部改正(令和3・6・18法76)
1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設【ポケット六法 略部分】
投票人名簿及び在外投票人名簿の内容確認手段について,個人情報保護の観点から,従来の縦覧制度を廃止し,次のように閲覧できる場合を明確化,限定するなどした新たな閲覧制度を創設することとした。(第29条の2及び第29条の3等関係)
(1) 投票人名簿の抄本等の閲覧をできる事由を法律上明記すること。
(2) 閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは,閲覧を拒むことができるものとすること。
(3) 不正閲覧対策に関する措置(罰則や過料を含む)を法律上規定すること。
2 「在外選挙人名簿」への登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備【ポケット六法 略部分】
出国時に市町村の窓口で在外選挙人名簿への登録を申請できる制度(出国時申請)が新たに創設されたが,これを利用して,国民投票の投票日の50日前の登録基準日直前に出国した場合に,国民投票の在外投票人名簿に反映されない場合があり得ることから,この「谷間」を埋めるための法整備を行うこととした。(第35条関係)
3 共通投票所制度の創設【ポケット六法 略部分】
投票の当日,市町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することができる共通投票所を設けることができる制度を創設することとした。(第52条の2関係)
4 期日前投票関係
(1) 期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加することとした。(第60条第1項関係)
(2) 開始時刻(午前8時30分)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(午後8時)の2時間以内の繰下げを可能とすることとした。(第60条第6項関係)
5 洋上投票の対象の拡大【ポケット六法 略部分】
外洋を航行中の船員について,ファクシミリ装置を用いて投票することができるようにする洋上投票制度について,便宜置籍船等の船員及び実習を行うため航海する学生・生徒も対象とすることとした。(第61条第7項関係)
6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し
天災等で投票を行うことができないとき又は更に投票を行う必要があるときに行う繰延投票の期日の告示について,少なくとも5日前に行うこととされていたものを少なくとも2日前までに行えば足りることとした。(第71条第1項関係)
7 投票所に入ることができる子供の範囲の拡大【ポケット六法 略部分】
投票所に入ることができる子供の範囲を,「幼児」から「児童,生徒その他の18歳未満の者」に拡大することとした。(第72条第2項関係)
8 検討
国は,この法律の施行後3年を目途に,次に掲げる事項について検討を加え,必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすることとした。(附則第4条関係)
(1) 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
① 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定の整備
② 投票立会人の選任の要件の緩和
(2) 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
① 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
② 国民投票運動等の資金に係る規制
③ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策
この改正は,令和3年9月18日から施行される。ただし,8については令和3年6月18日から施行される。