改正情報 社会法部門

職業安定法(昭和22・11・30法律第141号)の一部改正(平成29・3・31法律第14号 )

1 労働条件等の明示
 
 求人者、労働者の募集を行う者及び労働者供給を受けようとする者は、それぞれ、求人の申込みをした公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者の紹介による求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者と労働契約を締結しようとする場合であって、これらの者に対して職業安定法第5条の3第1項の規定により明示された労働条件等を変更する場合その他厚生労働省令で定める場合は、当該契約の相手方となろうとする者に対し、当該変更する労働条件等を明示しなければならないとの規定が追加された(第5条の3第3項関係)。

2 求人の申込みの不受理
 
 (1) 公共職業安定所が受理しないことができる求人の申込みに、次に掲げるものを加えるものとされた(第5条の5第1項関係)。
 
 ① 労働に関する法律の規定であって政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた者(厚生労働省令で定める場合に限る。)からの求人の申込み
 ② 暴力団員、法人であってその役員のうちに暴力団員があるもの又は暴力団員がその事業活動を支配する者に該当する者からの求人の申込み
 ③ 正当な理由なく下記(2)の求めに応じない者からの求人の申込み
 
 (2) 公共職業安定所は、受理しないことができる求人の申込みに該当するかどうかを確認するため必要があると認めるときは、当該求人者に報告を求めることができるものとするとともに、求人者は、その求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないものとされた(第5条の5第2項及び第3項関係)。

3 公共職業安定所による業務情報の提供

 (1) 公共職業安定所は、求職者が希望する地域においてその能力に適合する職業に就くことができるよう、職業紹介に関し、相互に協力するように努めなければならないとの規定が追加された(第5条の2第2項関係)。
 (2) 公共職業安定所は、厚生労働省令で定めるところにより、求職者又は求人者に対し、特定地方公共団体又は所定の職業紹介事業者の職業紹介事業の業務に係る情報を提供するものとされた(第18条の2関係)。

4 職業紹介事業者に係る欠格事由等

 (1) 職業紹介事業者に係る欠格事由に、次の事由を加えるものとされた(第32条関係)。

 ① 社会・労働保険関係法令違反で罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
 ② 職業紹介事業の許可を取り消された者等が法人である場合において、当該取消し等の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該法人の役員であった者で、当該取消し等の日から起算して5年を経過しないもの
 ③ 職業紹介事業の許可の取消し等の処分に係る聴聞の通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に職業紹介事業の廃止の届出をした者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの
 ④ 上記③の職業紹介事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、聴聞の通知の日前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該届出の日から起算して5年を経過しないもの
 ⑤ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
 ⑥ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
 ⑦ 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者

 (2) 職業紹介事業者が選任する職業紹介責任者について、従業者に対する職業紹介の適正な遂行に必要な教育を行わせるものとするとともに、職業紹介事業の管理を適正に行うに足りる能力を有する者として、厚生労働省令で定める基準に適合する者のうちから選任しなければならないものとされた(第32条の14関係)。

 (3) 職業紹介事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該職業紹介事業者の紹介により就職した者の数、当該職業紹介事業者の紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)のうち離職した者(解雇により離職した者その他厚生労働省令で定める者を除く。)の数、手数料に関する事項その他厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならないとの規定が追加された(第32条の16第3項関係)。

5 「募集情報等提供」の定義

 「募集情報等提供」について、労働者の募集を行う者若しくは募集受託者の依頼を受け、当該募集に関する情報を労働者となろうとする者に提供すること又は労働者となろうとする者の依頼を受け、当該者に関する情報を労働者の募集を行う者若しくは募集受託者に提供することと定義された(第4条第6項関係)。

6 労働者供給事業者の責務

 労働者供給事業者は、労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に資するため、当該事業の運営に当たっては、その改善向上を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならないとされた(第45条の2関係)。

  この改正は平成30年1月1日から施行される。但し、2の改正は平成32年3月30日までに政令で定める日から、3及び4(1)の改正は平成29年4月1日より施行された。