★六法の活用コラムvol.5~民法改正案(債権法関係)が成立しました!!
先月末,民法改正案(債権法関係)が国会で成立いたしました。
そこで,今回は上記内容の概略と上記改正案を現行民法に反映したポケット六法の別冊を紹介いたします。
~改正された条文を確認~
今回の民法の改正(平成29・6・2法律第44号)ですが,改正された主な規定を掲げると
1 意思能力に関する規定の新設(第3条の2関係)。
2 法律行為(公序良俗,意思表示,代理,無効及び取消し並びに条件)に関する規定の改正(第90条,第93条,第95条,第96条第2項及び第3項,第97条,第98条の2,第101条,第102条,第107条,第108条,第109条第2項,第112条,第117条,第121条の2,第122条,第124条第1項並びに第130条第2項関係)。
3 消滅時効の期間並びに時効の完成猶予及び更新等に関する規定の改正(第145条,第147条~第152条,第154条,第161条,第166条~第168条及び第170条~第174条関係)。
4 根抵当権の被担保債権に関する規定の改正(第398条の2第3項及び第398条の3第2項関係)。
5 債権の目的及び債権の効力(善管注意義務,選択債権,法定利率,債務不履行等の責任,債権者代位権及び詐害行為取消権)に関する規定の改正(第400条,第404条,第411条,第412条~第415条,第416条第2項,第417条の2,第418条,第419条第1項,第420条第1項及び第422条の2~第426条関係)。
6 連帯債務,不可分債務及び不可分債権に関する規定の改正と連帯債権に関する規定の新設(第428条,第430条,第432条~第436条,第439条第2項,第441条,第442条第1項及び第443条~第445条関係)。
7 事業に係る債務についての保証契約の特則及び契約締結時の情報提供義務等に関する規定の新設と保証債務の附従性等の保証債務に関する規定の改正(第448条第2項,第457条第2項及び第3項,第458条~第458条の3,第459条第1項,第459条の2,第460条第3号,第463条,第465条の2並びに第465条の4~第465条の10関係)。
8 債権譲渡に関する規定の改正と債務引受に関する規定の整備(第466条第2項~第4項,第466条の2~第466条の6,第467条第1項及び第468条~第472条の4関係)。
9 債権の消滅(弁済,相殺及び更改)に関する規定の改正(第473条,第474条,第477条,第478条,第480条,第482条,第483条,第484条第2項,第486条,第489条,第490条,第492条,第494条,第497条,第498条第1項,第499条~第501条,第502条第1項~第3項,第504条,第505条第2項,第509条及び第511条~第518条関係)。
10 有価証券に関する規定の新設(第520条の2~第520条の20関係)。
11 契約の成立,契約の効力及び契約の解除に関する規定の改正,契約上の地位の移転及び定型約款に関する規定の新設(第521条,第522条,第523条第1項,第525条,第526条,第529条~第530条,第534条~第536条,第537条第2項,第538条第2項,第539条の2,第541条~第543条,第545条第3項及び第548条~第548条の4関係)。
12 典型契約(贈与,売買,消費貸借,使用貸借,賃貸借,雇用,請負,委任,寄託及び組合)に関する規定の改正(第549条,第550条,第551条第1項,第557条第1項,第560条~第567条,第568条第1項及び第4項,第571条,第576条,第579条,第581条,第587条の2~第590条,第591条第2項及び第3項,第593条,第593条の2,第597条~第599条,第600条第2項,第601条,第602条,第604条~第605条の4,第606条第1項,第607条の2,第609条,第611条,第613条,第616条の2,第621条~第622条の2,第624条の2,第626条,第627条第2項,第634条~第640条,第642条,第644条の2,第648条第3項,第648条の2,第651条第2項,第657条~第658条,第660条,第662条第2項,第664条の2,第665条の2,第666条,第667条の2,第667条の3,第670条第1項~第4項,第670条の2,第675条,第676条第2項,第677条,第677条の2,第680条の2並びに第682条関係)。
13 不法行為の時効等に関する規定の改正(第722条、第724条及び第724条の2関係)。
と多くの条文が改正されます。
ポケット六法の別冊で,これらの改正された条文を全てご確認いただけますので,是非ご覧ください。
別冊では,改正後の条文が本文で,改正前の条文が小さな文字で注記されており,それぞれ比較できるようになっています。
また,参照先は民法のみですが,参照条文が付いていますので,条文同士の関係性の把握にも役立てていただけます。
別冊は法案段階の際に作成したものですが,国会審議において,法案(「民法の一部を改正する法律案」(国会189閣法63))の本則には修正が入っていませんので,内容的な変更はございません。
※衆議院にて別冊77頁における前記法案の附則15条については,下記の修正がございました。
「附則第十五条第二項中「平成二十七年法律第 号」を「平成二十九年法律第 号」に改める。」
~施行日を確認~
さて,民法が改正されたといっても,その改正法の効力が直ちに生じるわけではありません。
別冊76頁の附則第1条をご覧いただくとお分かりのとおり,施行日(改正が効力を持つ日にち)は「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とされています。
公布は2017年6月2日の官報号外116でなされていますので,理論上は2020年6月1日までに施行されることになります(もっとも,報道などによりますと2020年1月1日施行又は2020年4月1日施行ではないかなどの予想が立てられています)。
いずれにせよ,法律は成立したからといって,すぐさま効力を持つとは限らず,ある一定の周知期間や当該法律に関係する政令や省令を定めるための準備期間が置かれることがありまして,今回も直ちに改正法の効力が生じるわけではないことにもご留意いただき,別冊をご利用くださいますと幸いに存じます。施行日の詳しい説明についてはポケ六フォローvol.2や有斐閣六法の使い方・読み方をご参照ください。
