裁判所法(昭和22・4・16法律第59号)の一部改正(平成29・4・26法律第23号)
1 司法修習生に対し国が修習給付金を支給する制度の創設
(1) 司法修習生には,その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金(下記,基本給付金,住居給付金及び移転給付金)を支給することとされた(第67条の2第1項及び第2項)。
(2) 基本給付金の額は,司法修習生がその修習期間中の生活を維持するために必要な費用であって,その修習に専念しなければならないことその他の司法修習生の置かれている状況を勘案して最高裁判所が定める額とされた(第67条の2第3項)。
(3) 住居給付金は,配偶者が住宅を所有する場合その他の最高裁判所が定める場合を除き,司法修習生が自ら居住するため住宅等を借り受け,家賃を支払っている場合に支給することとし,その額は,家賃等として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額とされた(第67条の2第4項)。
(4) 移転給付金は,司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給することとし,その額は,路程に応じて最高裁判所が定める額とされた(第67条の2第5項)。
(5) 修習生に対する無利息貸与制度(現第67条の2)を修習専念資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であって,修習給付金の支給を受けてもなお必要なもの)に変更し,国が無利息で貸与する制度とすることとされた(改正後の第67条の3)。
2 司法修習生の罷免等に関する所要の規定の整備
(1) 最高裁判所は,司法修習生に成績不良,心身の故障その他のその修習を継続することが困難である事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは,最高裁判所の定めるところにより,その司法修習生を罷免することができることとされた(第68条第1項)。
(2) 最高裁判所は,司法修習生に品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは,その司法修習生を罷免し,その修習の停止を命じ,又は戒告することができることとされた(現第68条第1項,改正後の第68条2項)。
この改正は,平成29年11月1日から施行される。
なお,前記の改正後の規定は,この改正の施行後に採用された司法修習生について適用し,施行前に採用された司法修習生については,なお従前の例による。