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★六法の活用コラムvol.3-2~小社六法での編集上の工夫①~

 国会や都議会での証人喚問で話題となった「偽証罪」。
 2015年12月の最高裁判決を受け,昨年改正された民法の「再婚禁止期間」。
  芸能人のスキャンダルなどで取り上げられる「不貞行為」。
 日常生活でさまざまな法律に関わる用語を見聞きすることもあるかと思います。

 そのような用語と関係が深い法律や条文を知りたいときにポケット六法の最終ページ(1998頁)にある「総合事項索引」が役立ちます。
 例えば,「再婚禁止期間」の項を引くと民733.744.746とあります。これは民法733条,744条,746条を参照せよという意味です(法令の略語については,ポケット六法巻末をご覧ください)。
 そこで民法733条を見てみますと「女は、前婚の解消又は取消しの日から100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と定められています。これが2015年の最高裁判決を受けて改正された再婚禁止期間の規定です(改正前は6箇月が再婚禁止期間とされていました)。
 では他の条文はというと,民法744条は不適法な婚姻の取消しの請求について定められており,民法746条には再婚禁止期間に違反した婚姻であっても,所定の場合にはその取消しを請求することができないと書かれています。
 つまり,この3つの条文を参照すると,再婚禁止期間そのもののみならず,再婚禁止期間に違反した場合に係る規定について知ることができます。

 ここでもういちどポケット六法で民法733条を見てみますと,条文の末尾になにやら小さな数字や文字などが掲載されていることかと思います。
 これらは民法733条を読み解くうえで参考となる条文を示しているものです。(※記号の読み方については,ポケット六法本体の凡例(4頁)中にある<参照条文>の項又は「有斐閣六法の使い方・読み方」の19頁をご覧ください。「有斐閣六法の使い方・読み方」PDF版をこちらからご覧いただけます↓↓)
 https://www.yuhikaku.co.jp/yuhikaku_pr/pokeroku2017/wp-content/themes/yuhikaku_wp_pokeroku2017/howtoroppou.pdf
 
 さて,参照条文中に白抜き数字1の次に【前婚の解消又は取消しの日→764.739.770.743という記載があるかと思います。これは民法733条第1項の条文中にある「前婚の解消又は取消しの日(すなわち,再婚禁止期間の起算日はいつか)」について,民法764条,739条,770条,743条を参考にせよとの意味です。例えば民法764条を読むと,739条の婚姻の届出に係る規定は協議上の離婚について準用するとありますので,協議離婚の場合には,離婚の届出の日が「前婚の解消の日」とされていることが分かります。 
 このように参照条文を辿っていくと,条文と条文の関係性などがよく分かり,個々の規定のみならず法制度全体に関する理解を深めることができます。気になる用語があったとき,より条文を読み込みたいときなど「総合事項索引」と「参照条文」をご活用いただければ幸いです。