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公職選挙法(昭和25・4・15法律第100号)の一部改正(平成28・12・2法律第94号)

 選挙人等の投票しやすい環境を整えるため、同一都道府県の区域内で住所を移した者に係る都道府県の議会議員及び長の選挙権の取扱いの見直し、国外に転出する選挙人名簿に登録されている者等に係る在外選挙人名簿への登録の移転制度の創設等に係る改正

1 同一都道府県において住所移転した場合における都道府県選挙の選挙権規定に係る整備

 日本国民たる年齢満18歳以上の者でその属する市町村を包括する都道府県の区域内の1つの市町村の区域内に引き続き3箇月以上住所を有していたことがあり、かつ、その後も引き続き当該都道府県の区域内に住所を有するものは、前項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有することとされた(第9条第3項)。

2 選挙人名簿の登録制度の見直し

(1) 市町村の選挙管理委員会は、政令で定めるところにより、登録月の1日現在により、当該市町村の選挙人名簿に登録される資格を有する者を同日に選挙人名簿に登録しなければならないものとされた(第22条第1項関係)。

(2) 選挙人名簿及び在外選挙人名簿の縦覧制度を廃止することとした(第23条及び第30条の7関係)。

(3) 選挙人は、選挙人名簿の登録に関し不服があるときは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ定める期間又は期日に、文書で当該市町村の選挙管理委員会に異議を申し出ることができるものとされた(第24条第1項関係)。
 ① 第22条第1項の規定による選挙人名簿の登録(登録月の1日が選挙の期日の公示又は告示の日から当該選挙の期日の前々日までの間にある場合を除く。)
→当該登録が行われた日の翌日から5日間
 ② 第22条第1項の規定による選挙人名簿の登録(登録月の1日が選挙の期日の公示又は告示の日から当該選挙の期日の前々日までの間にある場合に限る。)及び同条第3項の規定による選挙人名簿の登録
→当該登録が行われた日の翌日 
 
3 在外選挙人名簿の登録制度の見直し

(1) 在外選挙人名簿への登録の移転(選挙人名簿から抹消すると同時に在外選挙人名簿の登録を行うこと)は、在外選挙人名簿に登録されていない年齢満18歳以上の日本国民で最終住所の所在地の市町村の選挙人名簿に登録されている者のうち、当該市町村の選挙管理委員会に登録の移転〔下記(2)参照〕の申請がされ、かつ、国外に住所を有するものについて行うものとされた(第30条の4第2項関係)。

(2) 年齢満18歳以上の日本国民で国外に転出をする旨の住民基本台帳法第24条の規定による届出(国外転出届)がされた者のうち、当該国外転出届がされた市町村の選挙人名簿に登録されているもの(当該市町村の選挙人名簿に登録されていない者で、当該国外転出届に転出の予定年月日として記載された日までに、当該市町村の選挙人名簿に登録される資格を有することとなるものを含む。)は、政令で定めるところにより、転出の予定年月日までに、文書で、当該市町村の選挙管理委員会に在外選挙人名簿への登録の移転の申請をすることができるものとされた(第30条の5第4項関係)。

(3) 市町村の選挙管理委員会は、上記(2)の申請〔在外選挙人名簿への登録の移転の申請〕があった場合には、政令で定めるところにより、外務大臣に対し、当該申請をした者(当該市町村の選挙人名簿から抹消された者を除く。)の国外における住所に関する意見を求めなければならないものとされた(第30条の5第5項関係)。

(4) 市町村の選挙管理委員会は、上記(2)の申請〔在外選挙人名簿への登録の移転の申請〕をした者が当該市町村における在外選挙人名簿への登録の移転をされる資格を有する者である場合には、遅滞なく、在外選挙人名簿への登録の移転をしなければならないものとし、当該在外選挙人名簿への登録の移転をしたときは、在外選挙人名簿に関する事務について、申請者の住所を管轄する領事官を経由して、当該申請者に、在外選挙人証を交付しなければならないものとされた(第30条の6第2項及び第5項関係)。

4 期日前投票の事由の追加

 期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加した(第48条の2第1項第6号関係)。

 この改正は平成29年6月1日までに政令で定められる日から施行される。ただし、3の改正については平成30年6月1日までに政令で定められる日から施行される。