児童福祉法(昭和22・12・12法律第164号)の一部改正(平成28・6・3法律第63号)
1 児童福祉法の理念の明確化(ポケット略部分)
(1) 全て児童は,児童の権利に関する条約の精神にのっとり,適切に養育されること,その生活を保障されること,愛され,保護されること,その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有することと規定された。(第1条関係)
(2) 全て国民は,児童が良好な環境において生まれ,かつ,社会のあらゆる分野において,児童の年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮され,心身ともに健やかに育成されるよう努めるものと規定され(第2条第1項関係),また,児童の保護者は,児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うものとされた。(第2条第2項関係)
2 国及び地方公共団体の責務に関する規定の新設(ポケット略部分)
国及び地方公共団体は,児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう,児童の保護者を支援しなければならないものとされた。また,児童を家庭において養育することが困難である場合等にあっては,必要な措置を講ずるものとされた。(第3条の2関係)
3 児童相談所に係る規定の改正
(1) 児童相談所長は,通告等を受けた児童若しくはその保護者を通わせ,若しくはその住所等において,児童福祉司等に指導させ,又は市町村等に委託して指導させることができるものと規定されることとなった。(第26条第1項第2号関係)
(2) 児童相談所長は,通告を受けた児童等のうち,児童及び妊産婦の福祉に関し,施設入所等の措置を要すると認める者を除き,専門的な知識等を要しない支援を行うことを要すると認める者を市町村に送致するものと規定された。(第26条第1項第3号関係)
(3) 児童相談所長は,通告を受けた児童等のうち,市町村が実施する児童の健全な育成に資する事業等の実施が適当であると認める者をその事業の実施に係る市町村の長に通知するものとされた。(第26条第1項第8号関係)
(4) その他,児童相談所の体制の強化に関する事項が定められた(第12条第3項及び第12条の3第6項第1号関係・ポケット略部分)。
4 要保護児童対策調整機関に関する規定の改正(略)
5 里親委託及び養子縁組の推進に関する改正
(1) 養子縁組里親について,都道府県知事が行う研修を修了し養子縁組によって養親となること等を希望する者のうち養子縁組里親名簿に登録されたものとすることとされた。(第6条の4第2号関係)
(2) 養子縁組里親名簿の作成,養子縁組里親の欠格要件等について規定された。(第34条の19~第34条の21関係)
6 一時保護に係る規定の改正
(1) 一時保護は,児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため,又は児童の状況を把握するために行うものであることと規定された。(第33条関係)
(2) 児童相談所長等は,一時保護が行われた児童について,満20歳に達するまでの間,引き続き一時保護を行うことができることとされた。(第33条第6項及び第7項関係)
(3) 児童相談所長等は,児童以外の満20歳に満たない者のうち,施設入所等の措置が引き続き採られているもの等について,一時保護を行うことができることとされた。(第33条第8項及び第9項関係)
7 児童福祉審議会に関する事項(略)
この改正は,平成29年4月1日より施行される。ただし,1,2,3(1)の改正については平成28年6月3日から,3(4),6(1)及び7の改正は平成28年10月1日から施行される。