改正情報 公法部門

改正情報 公法部門(2015年10月22日現在)

○自衛隊法(平成27・9・30法律第76号)

○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成27・9・30法律第76号)

○武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成27・9・30法律第76号)

●個人情報の保護に関する法律(平成27・9・9法律第65号)

●公職選挙法(平成27・8・5法律第60号)

○学校教育法(平成27・6・24法律第46号)

●公職選挙法(平成27・6・19法律第43号)

○道路交通法(平成27・6・17法律第40号) 

●裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成27・6・12法律第37号)

○警察法(平成26・11・27法律第124号)

武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15・6・13法律第79号)の一部改正(平成27・9・30法律第76号)

1 題名の改正
 本法の題名を「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に改めることとされた。

2 目的(第1条関係)
 本法の目的について,有事となる事態として「存立危機事態」(下記3を参照)を加え,その対処について,基本となる事項を定めることにより,存立危機事態への対処のための態勢を整備する旨を明記することとされた。

3 「存立危機事態」の定義(第2条関係)
 (1)「存立危機事態」とは,我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいうこととされた(第4号関係)。
 (2)「対処措置」の定義に存立危機事態の推移に応じて実施する措置を追加することとされた(第8号関係)。

4 基本理念(第3条関係)
 存立危機事態への対処に関する基本理念を定め,存立危機事態においては,事態に応じ合理的に必要と判断される限度で存立危機武力攻撃を排除しつつ,その速やかな終結を図らなければならないこととされた。

5 国の責務(第4条関係)
 国は,組織及び機能の全てを挙げて,存立危機事態に対処するとともに,国全体として万全の措置が講じられるようにする責務を有することとされた(第1項)。また,その責務を果たすため,国は,武力攻撃事態等及び存立危機事態への円滑かつ効果的な対処が可能となるよう,関係機関が行うこれらの事態への対処についての訓練その他の関係機関相互の緊密な連携協力の確保に資する施策を実施することとされた(第2項)。

6 対処基本方針(第9条関係)
 (1)政府は,存立危機に至ったときは,対処基本方針を定めることとされた(第1項)。
 (2)対処基本方針に定める事項について,対処すべき事態に関する次の事項を追加することとされた(第2項)。
 ①事態の経緯,事態が武力攻撃事態であること,武力攻撃予測事態であること又は存立危機事態であることの認定及び当該認定の前提となった事実
 ②事態が武力攻撃事態又は存立危機事態であると認定する場合にあっては,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がなく,事態に対処するため武力の行使が必要であると認められる理由
 (3)存立危機事態においては,対処基本方針に内閣総理大臣が行う国会の承認の求めを行う場合にあってはその旨を,内閣総理大臣が防衛出動を命ずる場合にあってはその旨を記載しなければならないこととされた(第4項)。

  この改正は,平成28年3月29日までに政令で定める日から施行される。

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自衛隊法(昭和29・6・9法律第165号)の一部改正(平成27・9・30法律第76号)

1 自衛隊の任務(第3条関係)
 自衛隊の任務について定める第3条第1項において,「直接侵略及び間接侵略に対し」との文言が削除され,また同条第2項第1号において,「我が国周辺の地域における」との文言が削除され,任務の範囲が広げられた。

 2 防衛出動(第76条関係)
 内閣総理大臣は,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に際して,我が国を防衛する必要があると認める場合に,自衛隊の出動を命じることができることとされた。

 3 在外邦人等の保護措置(第84条の3関係)
 防衛大臣は,外務大臣から外国における緊急事態に際して生命等に危害が加えられるおそれがある邦人の保護措置を行う依頼があった場合において,外務大臣と協議し,次のいずれにも該当すると認めるときは,内閣総理大臣の承認を得て,部隊等に当該保護措置を行わせることができることとされた。

 (1)当該外国の領域の当該保護措置を行う場所において,当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており,かつ,戦闘行為が行われることがないと認められること。

 (2)自衛隊が当該保護措置(武器の使用を含む。)を行うことについて,当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては,当該機関)の同意があること。

 (3)予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と(1)に規定する当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。

 4 在外邦人等の保護措置の際の権限(第94条の5関係)
 外国の領域において保護措置を行う職務に従事する自衛官は,3(1)及び(2)のいずれにも該当する場合であって,その職務を行うに際し,自己若しくは当該保護措置の対象である邦人若しくはその他の保護対象者の生命若しくは身体の防護又はその職務を妨害する行為の排除のためやむを得ない必要があると認める相当の理由があるときは,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるとされた。ただし,刑法第36条〔正当防衛〕又は第37条〔緊急避難〕に該当する場合のほか,人に危害を与えてはならないとされた。

 5 合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用(第95条の2関係)
 自衛官は,アメリカ合衆国の軍隊等の部隊であつて自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み,現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり,人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができることとされた。ただし,刑法第36条〔正当防衛〕又は第37条〔緊急避難〕に該当する場合のほか,人に危害を与えてはならないとされた。

 6 合衆国軍隊に対する物品・役務の提供(第100条の6関係)

 ・部隊等が第81条の2第1項第2号に掲げる施設及び区域に係る同項の警護を行う場合において,当該部隊等と共に当該施設及び区域内に所在して当該施設及び区域の警護を行う合衆国軍隊(第2号関係)

 ・自衛隊の部隊が第82条の2に規定する海賊対処行動を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該海賊対処行動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第3号)

 ・自衛隊の部隊が第82条の3第1項又は第3項の規定により弾道ミサイル等を破壊する措置をとるため必要な行動をとる場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該行動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第4号)

 ・自衛隊の部隊が第84条の2に規定する機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在してこれらの活動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第6号)

 ・自衛隊の部隊が船舶又は航空機により外国の軍隊の動向に関する情報その他の我が国の防衛に資する情報の収集のための活動を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該活動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第9号)

 以上の合衆国軍隊に対しても,自衛隊に属する物品・役務の提供を実施できることとされ,その他航空機,船舶又は車両により合衆国軍隊の施設に到着して一時的に滞在する部隊等と共に現場に所在し,訓練,連絡調整その他の日常的な活動を行う合衆国軍隊(第11号)に対しても同様とされた。

 
 この改正は,平成28年3月29日までに政令で定める日から施行される。

 

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国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4・6・19法律第79号)の一部改正(平成27・9・30法律第76号)

1 協力の対象となる活動及びその態様の追加等

 (1)本法における国際平和協力業務の対象となる活動として,「国際連携平和安全活動」が追加された。
「国際連携平和安全活動」とは,国連総会決議,安全保障理事会決議若しくは経済社会理事会決議,国連等が行う要請又は当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づき,紛争当事者間の武力紛争の再発の防止に関する合意の遵守の確保,紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護,武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立及び再建の援助その他紛争に対処して国際の平和及び安全を維持することを目的として行われる活動であって,二以上の国の連携により実施されるもののうち,次に掲げるものをいうこととされた(第3条第2号・第5号・第6号関係)。
 ①武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意があり,かつ,当該活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意がある場合に,いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施される活動
 ②武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において,当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に実施される活動
 ③武力紛争がいまだ発生していない場合において,当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に,武力紛争の発生を未然に防止することを主要な目的として,特定の立場に偏ることなく実施される活動

 (2)防衛大臣は,国連国際連合の要請に応じ,国連の業務であって,国連平和維持活動に参加する自衛隊の部隊等又は外国の軍隊の部隊により実施される業務の統括に関するものに従事させるため,内閣総理大臣の同意を得て,自衛官を派遣することができることとされた(第27条関係)。

 (3)国際的な選挙監視活動について,紛争による混乱を解消する過程で行われる選挙等を含めることとし(第3条第4号関係),その隊員を選考により採用する者及び自衛隊以外の関係行政機関の職員に限ることとされた(第12条及び第13条第1項関係)。

 2 国際平和協力業務の種類の追加

 (1)国際平和協力業務の種類として次の業務を追加することとされた(第3条第5号関係)。
 ①防護を必要とする住民,被災民その他の者の生命,身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視,駐留,巡回,検問及び警護(いわゆる,安全確保業務)
 ②矯正行政事務に関する助言若しくは指導又は矯正行政事務の監視
 ③立法,行政(④の組織を除く)又は司法に関する事務に関する助言又は指導
 ④国の防衛に関する組織等の設立又は再建を援助するための助言若しくは指導又は教育訓練に関する業務
 ⑤国際連合平和維持活動又は国際連携平和安全活動を統括し,又は調整する組織において行う一定の業務の実施に必要な企画及び立案並びに調整又は情報の収集整理
 ⑥上記④,⑤を含む業務又はこれらの業務に類するものとして政令で定める業務を行う場合であって,国際連合平和維持活動,国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者(以下「活動関係者」という。)の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ,又は生ずるおそれがある場合に,緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護(いわゆる,駆け付け警護)

 (2)上記(1)①又は⑥の業務を実施する場合にあっては,国際連合平和維持活動等が実施されること及び我が国が国際平和協力業務を実施することにつき,当該活動が行われる地域の属する国等の同意があり,かつ,その同意が当該活動及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められなければならないこととされた(第6条第1項関係)。

 (3)内閣総理大臣は,自衛隊の部隊等が上記(1)①の業務又は国際連携平和安全活動のために行う業務を実施しようとする場合は,実施計画を添えて国会の承認を求めなければならないこととされた(第6条第7項関係)。

3 武器の使用

 (1)派遣先国において国際平和協力業務に従事する自衛官は,その宿営する宿営地であって当該業務に係る国際連合平和維持活動,国際連携平和安全活動又は人道的な国際救援活動に従事する外国の軍隊の部隊の要員が共に宿営するものに対する攻撃があったときは,当該宿営地に所在する者の生命又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して,武器の使用をすることができることとされた(第25条第7項関係)。

 (2)上記2の(1)①に掲げる業務に従事する自衛官は,その業務を行うに際し,自己若しくは他人の生命,身体若しくは財産を防護し,又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で,武器を使用することができることとされた(第26条第1項)。

 (3)上記2の(1)⑥に従事する自衛官は,その業務を行うに際し,自己又はその保護しようとする活動関係者の生命又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で,武器を使用することができることとされた(第26条第2項関係)。 

4 その他の措置

 (1)国際平和協力本部長は,国際平和協力業務の実施にあたって,隊員の安全の確保に配慮しなければならないこととされた(第10条関係)。

 (2)政府は,国際連合平和維持活動等に参加するに際して,活動参加国等から,これらの活動に起因する損害についての請求権を相互に放棄することを訳することを求められた場合において必要と認めるときは,我が国の請求権を放棄することを約することができることとされた(第32条関係)。

 (3)防衛大臣等は,国際連合平和維持活動等を実施する自衛隊の部隊と共に活動が行われる地域に所在して大規模な災害に対処するアメリカ合衆国又はオーストラリアの軍隊から応急の措置に必要な物品又は役務の提供に係る要請があったときは,自衛隊に属する物品又は役務の提供を実施することができることとされた(第33条関係)。

  この改正は,平成28年3月29日までに政令で定める日から施行される。

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個人情報の保護に関する法律(平成15・5・30法律第57号)の一部改正(平成27・ 9・9法律第65号)

1 目的(第1条関係)
 本法の目的について,個人情報の適切かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とすることとされた。

2 定義(第2条関係)

 定義に関し,
 (1)「個人情報」とは生存する個人に関する情報であって,次のいずれかに該当するものとされた(第1項)。
 ①当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)
 ②個人識別符号(第2項)が含まれるもの

 (2)「個人識別符号」とは次のいずれかに該当する文字,番号,記号その他の符号のうち,政令で定めるものとされた(第2項)。
 ①特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字,番号,記号その他の符号であって,当該特定の個人を識別することができるもの
 ②個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ,又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され,若しくは電磁的方式により記録された文字,番号,記号その他の符号であって,その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ,又は記載され,若しくは記録されることにより,特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの

 (3)「要配慮個人情報」とは本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報とされた(第3項)。

 (4)「個人情報データベース等」の定義について「利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定めるものを除く」という文言を加え例外を設けることとされた(第4項)。

 (5)「個人情報取扱事業者」の定義から,その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者(改正前の本条第3項第5号)を削除することとされた(第5項)。

 (6)「匿名加工情報」とは特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって,当該個人情報を復元することができないようにしたものとされた(第9項)。

 (7)「匿名加工情報取扱事業者」とは特定の匿名加工情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるものを事業の用に供している者とされた(第10項)。

3 国及び地方公共団体の責務等(第6条関係)

 政府は,国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通じて,各国政府と共同して国際的に整合のとれた個人情報に係る制度を構築するために必要な措置を講ずるものとされた。

 4 個人情報取扱事業者の義務(第4章第1節関係)

 個人情報取扱事業者の義務として,次に掲げるものを規定することとされた。

 (1)利用目的の特定
 個人情報取扱事業者は,利用目的を変更する場合には,変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないこととされた(第15条第2項)。

 (2)適切な取得
 個人情報取扱事業者は,一定の場合を除き,あらかじめ本人の同意を得ないで,要配慮個人情報を取得してはならないこととされた(第17条第2項)。

 (3)データ内容の正確性の確保等
 個人情報取扱事業者は,個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに,利用する必要がなくなったときは,当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないこととされた(第19条)。

 (4)第三者提供の制限
 個人情報取扱事業者は,第三者に提供される要配慮個人情報を除く個人データについて,本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって個人情報保護委員会規則で定めるところにより,あらかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知りうる状態に置くとともに,個人情報保護委員会(後述の)に届け出たときは,当該個人データを第三者に提供することができることとされた(第23条第2項)。

 (5)外国にある第三者への提供の制限
 個人情報取扱業者は,外国にある第三者に個人データを提供する場合には,一定の場合を除き,あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならないこととされた(第24条)。

 (6)第三者提供に係る記録の作成等
 個人情報取扱事業者は,個人データを第三者に提供したときは,個人情報保護委員会規則で定めるところにより,当該個人データを提供した年月日,当該第三者の氏名又は名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項に関する記録を作成しなければならないこととされた(第25条)。

 (7)第三者提供を受ける際の確認等
 個人情報取扱事業者が,第三者から個人データの提供を受ける場合は,一定の事項に該当する場合を除き個人情報保護委員会規則で定めるところにより,当該第三者による当該個人データの取得の経緯等を確認し,当該個人データの提供を受けた年月日等の記録を作成し,一定の期間保存しなければならないこととされた(第26条)。

 (8)開示等
 ①本人は,個人情報取扱事業者に対し,当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができるとするとともに(第28条第1項),個人データの内容が事実でないときは,内容の訂正,追加又は削除を請求することができることとされた(第29条第1項)。また,保有個人データが,利用目的の制限に係る規定(第16条)に違反して取り扱われているとき又は適切な取得に係る規定(第17条。(2)を参照)に違反して取得されたものであるときは,当該保有データの利用の停止又は消去を請求することができることとされた(第30条)。
 ②本人は,①による請求に係る訴えを提起しようとするときは,その訴えの被告となるべき者に対し,あらかじめ当該請求を行い,かつ,その到達した日から2週間を経過した後でなければ,その訴えを提起することができないこととされた(第34条)。

5 匿名加工取扱事業者等の義務(第4章第2節関係)

 (1)匿名加工情報の作成等
 個人情報取扱事業者は,匿名加工情報を作成するときは,特定の個人を識別すること及びその作成に用いる個人情報を復元することができないようにするために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に従い,当該個人情報を加工しなければならないこととするとともに,匿名加工情報を作成したときは,その作成に用いた個人情報から削除した記述等及び個人識別符号並びに当該加工の方法に関する情報の漏えいを防止するためにこれらの情報の安全管理のための措置を講じなければならないこととされた(第36条)。

 (2)匿名加工情報の提供
 匿名加工情報取扱事業者は,匿名加工情報を第三者に提供するときは,個人情報保護委員会規則で定めるところにより,あらかじめ,第三者に提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目及びその提供の方法について公表するとともに,当該第三者に対して,当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならないこととされた(第37条)。

 (3)識別行為の禁止
 匿名加工情報取扱事業者は,匿名加工情報を取り扱うに当たっては,当該匿名加工情報の作成に用いられた個人情報に係る本人を識別するために,当該個人情報から削除された記述等若しくは個人識別符号若しくは上記1の規定により行われた加工の方法に関する情報を取得し,又は当該匿名加工情報を他の情報と照合してはならないこととされた(第38条)。

 (4)安全管理措置等
 匿名加工情報取扱事業者は,匿名加工情報の安全管理のために必要かつ適切な措置,匿名加工情報の取扱いに関する苦情の処理その他の匿名加工情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じ,かつ,当該措置の内容を公表するよう努めなければならないこととされた(第39条)。

6 監督(第4章第3節関係)

 個人情報取扱事業者の監督を行う主体を主務大臣から個人情報保護委員会に改めるとともに,匿名加工情報取扱事業者の監督についても個人情報保護委員会が行うこととし,次に掲げるものを規定することとされた。

 (1)報告及び立入り検査
 個人情報保護委員会は,個人情報取扱事業者又は匿名加工情報取扱事業者(以下,「個人情報取扱事業者等」という。)に対し,個人情報又は匿名加工情報(以下,「個人情報等」という。)の取扱いに関し,必要な報告若しくは資料の提出を求め,又はその職員に,当該個人情報取扱事業者等の事務所その他必要な場所に立ち入らせ,帳簿書類その他の物件を検査させることができることとされた(第40条)。

 (2)指導及び助言
 個人情報保護委員会は,一定の場合において,個人情報取扱事業者等に対し,個人情報等の取扱いに関し必要な指導及び助言をすることができることとされた(第41条)。

 (3)権限の委任
 個人情報保護委員会は,緊急かつ重点的に個人情報等の適正な取扱いの確保を図る必要があることその他の政令で定める事情があるため,必要があると認めるときは,政令で定めるところにより,1による立入検査等の権限を事業所管大臣に委任することができることとされた(第44条)。

 (4)事業所管大臣の請求
 事業所管大臣は,個人情報取扱事業者等による個人情報等の適正な取扱いを確保するために必要があると認めるときは,個人情報保護委員会に対し,この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことができることとされた(第45条)

 7 民間団体による個人情報の保護の促進(第4章第4節関係)

 認定個人情報保護団体の認定及び監督を行う主体を個人情報保護委員会に改め,認定個人情報保護委員会が作成する個人情報保護指針について規定することとされた。

8 個人情報保護委員会(第5章関係)
 内閣府設置法の規定に基づき,個人情報保護委員会を設置し(第59条),任務,所掌事務,組織等(第60条~第74条)について規定することとされた。

9 雑則(第6章関係)

 (1)適用範囲
 一定の規定について,国内にある者に対する物品又は役務の提供に関連してその者を本人とする個人情報を取得した個人情報取扱事業者が,外国において当該個人情報又は当該個人情報を用いて作成した匿名加工情報を取り扱う場合についても適用することとされた(第75条)。

 (2)外国執行当局への情報提供
 個人情報保護委員会は,この法律に相当する外国の法令を執行する外国の当局に対し,その職務の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができることとされた(第78条)。

10 罰則(第7章関係)

 個人情報取扱事業者(その者が法人である場合にはその役員,代表者又は管理人)若しくはその従業者又はこれらであった者が,その業務に関して取り扱った個人情報データベース等を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し,又は盗用したときは,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされた(第83条)。

 11 その他

 その他所要の規定の整備をすることとされた。

 この改正は,平成29年9月8日までに政令で定める日から施行される。ただし,及びの改正は,平成28年1月1日から,の改正の一部は,平成29年5月30日までに政令で定める日より施行される(このの改正の一部は,平成29年9月8日までに政令で定める日から施行される改正を前提としていることから,この改正は,平成29年5月30日までに政令で定める日より施行される)。

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公職選挙法(昭和25・4・15法律第100号)の一部改正(平成27・8・5法律第60号)

 参議院選挙区選出議員の選挙について,選挙区間において議員1人当たりの人口に不均衡が生じている状況に鑑み,各選挙区において選挙すべき議員の数につき是正を行い,あわせて2の都道府県の区域を区域とする選挙区を設けるとともに,2の都道府県の区域を区域とする選挙区において行われる選挙(以下「参議院合同選挙区選挙」という。)に関し,選挙運動の数量に係る制限等の特例を設けるほか,その管理執行体制を整備しようとするものであり,その主な内容は次のとおりである。

 1 参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の改正

 (1)参議院選挙区選出議員の各選挙区において選挙すべき議員の数を,次に掲げる選挙区について改めることとされた。(別表第3)

選挙区      選挙すべき議員数
北海道      6人(現行 4人)
宮城県      2人(現行 4人)
東京都      12人(現行 10人)
新潟県      2人(現行 4人)
長野県      2人(現行 4人)
愛知県      8人(現行 6人)
兵庫県      6人(現行 4人)
福岡県      6人(現行 4人)

 (2)参議院選挙区選出議員について,次のとおり,2の都道府県の区域を区域とする選挙区(合区)を設けることとされた。

選挙区        選挙すべき議員数
鳥取県及び島根県   2人(現行 鳥取県2人・島根県2人)
徳島県及び高知県   2人(現行 徳島県2人・高知県2人)

*これによって,1票の較差は,4.75倍から2.97倍となる。

2 参議院合同選挙区選挙に関する選挙運動の数量に係る制限等の特例

 参議院合同選挙区選挙に関する選挙運動の数量に係る制限等について,次の特例を設けることとされた。
 (1)新聞広告の回数は,10回までとする。(第149条第4項)
 (2)街頭演説の際に掲げなければならない標旗の交付数は,2とする。(第164条の5第3項第1号)

3 参議院合同選挙区選挙の管理執行体制の整備

 上記 (2)の選挙区内の2の都道府県は,共同して参議院合同選挙区選挙管理委員会を置き,参議院合同選挙区選挙に関する事務は,参議院合同選挙区選挙管理委員会が管理することとされた。(第5条の6)

  この改正は,一部を除き,11月5日から施行され,施行日以後その期日を公示される参議院議員の通常選挙並びにこれに係る再選挙及び補欠選挙について適用される。

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学校教育法(昭和22・3・31法律第26号)の一部改正(平成27・6・24法律 第46号)

1 義務教育学校の新設(第5章の2関係)
 小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う新たな学校の種類として「義務教育学校」が規定されることとなった。

(1)修業年限・課程
 義務教育学校の修業年限は9年とされ,前期6年の前期課程及び後期3年の後期課程に区分される(第49条の4,第49条の5)。

(2)市町村の小学校・中学校設置義務規定の見直し
 市町村は,その区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校・中学校を設置しなければならないが,教育上有益かつ適切であると認めるときは,義務教育学校の設置をもってこれに代えることができることとされた(第38条・第49条)。

2 高等学校の専攻科修了生の大学への編入
 修業年限が2年以上であり,文部科学大臣の定める基準を満たす高等学校の専攻科の課程を修了した者で,大学の入学資格を満たす者(第90条第1項)は,文部科学大臣の定めるところにより,大学に編入できることとされた(第58条の2関係)。

 この改正は平成28年4月1日から施行される。ただし,義務教育学校の設置のため必要な手続その他の行為は,この改正の施行前においても行うことができるとされた。

 

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公職選挙法(昭和25・4・15法律第100号)の一部改正(平成27・6・19法律第43号)

・選挙権年齢の引き下げ
 日本国民で年齢満18年以上の者は,衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有することとされた(第9条第1項)。
 また,同様に,日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有することとされた(第9条2項,地方自治法第18条)。

・民法の成年年齢等の引下げに関する検討
 国は,選挙の公正その他の観点における年齢満18年以上満20年未満の者と年齢満20年以上の者との均衡等を勘案しつつ,民法,少年法その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずることとした(附則第11条)。

 この改正は平成28年6月19日から施行され,施行日後初めて行われる国政選挙(衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙)の公示日以後にその期日を公示され又は告示される選挙から適用される。

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道路交通法(昭和35・6・25法律第105号)の一部改正(平成27・6・17法律第40号)

 最近の交通情勢に鑑み,75歳以上の運転者に対する臨時の認知機能検査制度を導入するとともに,貨物自動車の安全性を高めるため運転免許の種類として準中型自動車免許を新設する等の改正。

 1 高齢運転者対策の推進を図るための規定の新設

 (一) 臨時認知機能検査に関する規定の新設
 公安委員会は,75歳以上の者(免許を現に受けている者に限る)が,自動車等の運転に関し,法令で定める違反行為のうち,認知機能が低下した場合に行われやすいものとして政令で定める違反行為をしたときは,その者に対し,臨時に認知機能検査を行うこととした(第101条の7第1項~第3項)。

 (二) 臨時高齢者講習に関する規定の整備
 公安委員会は,(一)の認知機能検査を受けた者が,検査結果等その他事情を勘案して,認知機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があるものとして一定の基準に該当するときは,その者に対し,高齢者講習(第108条の2第1項第12号(略部分))を行うこととした(第101条の7第4項)。
 
 (三) 臨時適性検査等に関する規定の整備(略)(第102条関係)
 
 (四) 公安委員会は,臨時認知機能検査の対象となった者が当該検査を受検せず,又は臨時高齢者講習の対象となった者が当該講習を受講しなかった場合には,免許を取り消し,又は免許の効力を停止することができることとした(第104条の2の3)。

2 運転免許の種類等に関する規定の整備

 (一) 自動車及び運転免許の種類に関する規定の整備

 (1) 自動車の種類として,新たに「準中型自動車」(車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満の自動車)を設けることとした(第3条関係)。
 (2) 運転免許の種類として,新たに「準中型自動車免許」(以下,「準中型免許」という。)及び「準中型自動車仮免許」(以下,「準中型仮免許」という。)を設けることとした(第84条関係)。
 (3) 第一種免許・第二種免許及び仮免許に関し,準中型自動車についても規定し,準中型自動車を運転しようとする者は準中型免許を,準中型自動車を運転することができる第一種運転免許又は第二種運転免許を受けない練習等のために準中型自動車を運転しようとする者は準中型仮免許をそれぞれ受けなければならないこととした(第85条~第87条関係)。

 (二) 運転免許の欠格事由等に関する規定の整備

 (1) 準中型免許及び準中型仮免許は18歳以上の者に与えることとした(第88条関係)。
 (2) 準中型免許を受けようとする者は,公安委員会が行うその受けようとする運転免許に係る自動車の運転に関する講習及び応急救護処置に関する講習(第108条の2第1項第4号・第8号(略部分))を受けなければならないこととした(第90条の2関係)。

 (三) 再試験等に関する規定の整備 

 (1) 公安委員会は,準中型免許を受けた者で当該免許を受けた日から1年間に違反行為をし,一定の基準に該当することとなった者に対して,再試験を行うものとした(第100条の2関係)。
 (2) 準中型免許を受けた者で,当該準中型自動車免許を受けていた期間が通算して1年に達しないものは,初心運転者標識を付けないで準中型自動車を運転してはならないこととした(第71条の5関係)。

3 その他
 酒気帯び運転又は過労運転等の違反行為をし,よって交通事故を起こして人を死亡させ,又は傷つけたときについても運転免許の効力の仮停止の対象に加えることとした(第103条の2関係)。

 この改正は,平成29年6月16日までに政令で定める日から施行される。ただし,3の改正については,平成27年6月17日から施行される。

 

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裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16・5・28法律第63号)の一部改正(平成27・6・12法律第37号)

1 長期間の審判を要する事件等を裁判員裁判の対象事件から除外
 地方裁判所は,第2条第1項各号に掲げる事件について,以下のいずれかに該当するときは,検察官,被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で,当該事件を裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならないこととされた(第3条の2関係)。

 (1)公判前整理手続による当該事件の争点及び証拠の整理を経た場合であって,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又はその期間中に裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日等が多数に上ることを回避できないときにおいて,他の事件における裁判員の選任状況等のその他の事情を考慮し,裁判員の選任又は裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき

 (2)第2条第1項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じ,かつ,裁判員に選任すべき補充裁判員がない場合であって,その後の審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又はその期間中に裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日等が多数に上ることを回避できないときにおいて,他の事件における裁判員の選任状況等のその他の事情を考慮し,裁判員の選任又は裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき

2 裁判員辞退事由の追加
 「重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け,その生活の再建のための用務を行う必要があること」が裁判員辞退事由に追加され,この事由に該当する者は裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとされた(第16条第8号)。

3 非常災害時の呼び出しをしない措置
 裁判所は,選定された裁判員候補者のうち,著しく異常かつ激甚な非常災害により,郵便物の配達等が極めて困難である地域又は交通が遮断された地域等に住所を有する者については,裁判員候補者に係る呼び出しをしないことができることとされた(第27条の2関係)。

4 被害者特定事項の取扱い規定の新設
 裁判官,検察官,被告人及び弁護人は,刑事訴訟法290条の2第1項又は第3項の決定があった事件の裁判員等選任手続においては,裁判員候補者に対し,正当な理由なく,被害者特定事項を明らかにしてはならないとされた(第33条の2関係)。

5 検討
 政府は,この法律の施行後3年を経過した場合において,新法の施行の状況等について検討を加え,必要があると認められるときは,裁判員制度が法制度の基盤としてより重要な役割を果たすものとなるよう,所要の措置を講ずるものとされた(附則第3項)。

 
 この法律は,平成27年12月12日から施行される。

 

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警察法(昭和29・6・8法律第162号)の一部改正(平成26・11・27法律第124号)

○国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成26・11・27法124)附則第5条による改正

 第37条の都道府県警察に要する経費で国庫が支弁する経費に第10号として,国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法第3章の規定による措置に要する経費を加える改正がなされた。

 この改正は,平成27年11月26日までに政令で定める日から,施行される。

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