改正情報 民事法部門

改正情報 民事法部門(2015年7月10日現在)

○民事訴訟規則(平成27・6・29最高裁判所規則第6号)

○船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(平成27・5・7法律第19号)

○会社法施行規則(平成27・2・6法務省令第6号)

○会社計算規則(平成27・2・6法務省令第6号)

 

民事訴訟規則(平成8・12・17最高裁判所規則第5号)の一部改正(平成27・6・29最高裁判所規則第6号)

1 団体訴訟における訴訟代理人に関する規定の整備
 (1)連絡担当訴訟代理人の選任
 共同訴訟人間で訴訟代理人を異にするときを含め,当事者の一方につき訴訟代理人が数人あるときは,訴訟代理人は,その中から,連絡を担当する訴訟代理人(連絡担当訴訟代理人)を選任することができることとされた(第23条の2第1項)。

 (2)連絡担当訴訟代理人の権限
 連絡担当訴訟代理人は,これを選任した訴訟代理人のために,訴訟行為を除き,裁判所及び相手方との間の連絡,争点及び証拠の整理の準備,和解条項案の作成その他審理が円滑に行われるために必要な行為をすることができることとされた(第23条の2第2項)。

 (3)相手方への通知義務
 連絡担当訴訟代理人を選任した訴訟代理人は,その旨を裁判所に書面で届け出るとともに,相手方に通知しなければならないこととされた(第23条の2第3項)。

2 訴訟記録の閲覧等の請求方式に関する規定の整備
 訴訟記録の閲覧等の請求は,書面でしなければならない。また,その請求は,訴訟に関する事項の証明書の交付を請求する場合を除き,訴訟記録中の当該請求に係る部分を特定するに足りる事項を明らかにしてしなければならないこととされた(第33条の2第1項・第2項)。

3 書類の直送を受けた相手方の受領通知義務
 ①当事者から第47条第4項の書類を受けたとき
 ②当事者から裁判所が当事者に対し送付すべき書類の直送を受けたとき
 相手方は,当該書類を受領した旨を記載した書面について直送をするとともに,当該書面を裁判所に提出しなければならないこととされた。ただし,①又は②の直送をした当事者が,受領した旨を相手方が記載した当該書類を裁判所に提出したときはこの限りではないとされた(第47条第5項)。

4 大規模訴訟に関する特例の削除
 1が定められたことに伴い,大規模訴訟に関する連絡を担当する訴訟代理人に関する規定が削除された(第166条の削除)。

 5 抗告状の写しの送付に関する規定の整備
 再抗告(民事訴訟法第330条)の抗告以外の抗告があったときは,抗告裁判所は,相手方に対し,抗告状の写しを送付することとされた。ただし,以下のときはこの限りではないとされた(第207条の2)。
 ①抗告が不適法であるとき
 ②抗告に理由がないと認めるとき
 ③抗告状の写しを送付することが相当でないと認めるとき

 この改正は,平成28年1月1日から施行される。なお,3(第47条)及び5(第207条の2)の事項を除き,この改正の施行前に生じた事項にも適用される。ただし,改正の施行前の規定により生じた効力を妨げないこととされた。

 

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船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和50・12・27法律第94号)の一部を改正する法律(平成27・5・7法律第19号)

 「千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約を改正する千九百九十六年の議定書」(平成18・5・8条約第4号)について,船舶の運航により生じた人的損害及び物的損害に対する現行の船舶所有者等の責任の限度額を1.51倍引き上げるとする改正が本年6月8日に発効される(平成27・5・18外務省告示第158号)。

 それに伴い,本法においても船舶所有者等の責任の限度額を1.51倍に引き上げることとした(第7条第1項・第3項関係)。

 この改正は,上記発効日と同日の平成27年6月8日から施行される。

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会社計算規則(平成18・2・7法務省令第13号)の一部改正(平成27・2・6法務省令第6号)

 会社法の一部を改正する法律(平成26・6・27法律第90号 ,以下「改正法」という)及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26・6・27法律第91号)の施行に伴い,会社計算規則が改正された。

 1 出資の履行等の仮装に係る義務が履行された場合の取扱い

 改正法により,出資の履行を仮装した場合に,発起人は,株式会社に対し,払込を仮装した出資にかかる金銭の全額(給付の仮装であった場合には,給付を仮装した出資に係る金銭以外の全額の支払)等の支払義務を負うこととなった(法第52条の2第1項)。この義務の履行をした場合には,「株式会社のその他資本剰余金の額は,義務の履行により株式会社に対して支払われた金銭又は給付された金銭以外の財産の額が増加するもの」と規定された(第21条第2号)。また,設立時の又は設立後の募集株式引受人による払込の仮装等(法第102条の2第1項,法第213条の2第1項,法第285条,法第286条)において,引受人等が株式会社に対する支払義務を履行した場合も同様とされた(第21条第3号)。

 2 監査等委員会設置会社の規定新設に伴う整備

 改正法により新たに設けられた監査等委員会設置会社の制度(法第399条の2)に伴い,「計算関係書類の提供」に係る規定(第125条),「監査等委員会における監査報告の内容」(第128条の2)及び「会計監査人が会計監査の内容を通知しなければならない特定監査役の定義」に係る規定(第130条)等において,規定の整備が行われた。

 3 電磁的方法による計算書類等の株主への提供の拡大(いわゆるウェブ開示事項の拡大)

 計算書類に表示すべき事項であるが,インターネットのウェブ上に所定の期間,継続して株主が閲覧できるようにしている方法をとれば,当該事項につき,株主に対して提供したものとみなされる事項(いわゆるウェブ開示事項)に「株主資本等変動計算書」が加わり,その範囲が拡大された(第133条第4項)。

 4 企業結合会計基準等の改正に伴う整備

 株式会社の連結貸借対照表の項目のうち「少数株主持分」を「非支配株主持分」に改める(第76条第1項第2号ニ,第96条第2項第2号ニ)等,企業結合に関する会計基準等の改正を踏まえ,計算書類及び連結計算書類における表示に関する規定等が整備された(第93条,第94条,第96条第2項,第7項,第8項,第102条,第113条)。

 この改正は平成27年5月1日から施行される。ただし,4の改正規定は平成27年2月6日から施行された。

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