民事訴訟規則(平成8・12・17最高裁判所規則第5号)の一部改正(平成27・6・29最高裁判所規則第6号)
1 団体訴訟における訴訟代理人に関する規定の整備
(1)連絡担当訴訟代理人の選任
共同訴訟人間で訴訟代理人を異にするときを含め,当事者の一方につき訴訟代理人が数人あるときは,訴訟代理人は,その中から,連絡を担当する訴訟代理人(連絡担当訴訟代理人)を選任することができることとされた(第23条の2第1項)。
(2)連絡担当訴訟代理人の権限
連絡担当訴訟代理人は,これを選任した訴訟代理人のために,訴訟行為を除き,裁判所及び相手方との間の連絡,争点及び証拠の整理の準備,和解条項案の作成その他審理が円滑に行われるために必要な行為をすることができることとされた(第23条の2第2項)。
(3)相手方への通知義務
連絡担当訴訟代理人を選任した訴訟代理人は,その旨を裁判所に書面で届け出るとともに,相手方に通知しなければならないこととされた(第23条の2第3項)。
2 訴訟記録の閲覧等の請求方式に関する規定の整備
訴訟記録の閲覧等の請求は,書面でしなければならない。また,その請求は,訴訟に関する事項の証明書の交付を請求する場合を除き,訴訟記録中の当該請求に係る部分を特定するに足りる事項を明らかにしてしなければならないこととされた(第33条の2第1項・第2項)。
3 書類の直送を受けた相手方の受領通知義務
①当事者から第47条第4項の書類を受けたとき
②当事者から裁判所が当事者に対し送付すべき書類の直送を受けたとき
相手方は,当該書類を受領した旨を記載した書面について直送をするとともに,当該書面を裁判所に提出しなければならないこととされた。ただし,①又は②の直送をした当事者が,受領した旨を相手方が記載した当該書類を裁判所に提出したときはこの限りではないとされた(第47条第5項)。
4 大規模訴訟に関する特例の削除
1が定められたことに伴い,大規模訴訟に関する連絡を担当する訴訟代理人に関する規定が削除された(第166条の削除)。
5 抗告状の写しの送付に関する規定の整備
再抗告(民事訴訟法第330条)の抗告以外の抗告があったときは,抗告裁判所は,相手方に対し,抗告状の写しを送付することとされた。ただし,以下のときはこの限りではないとされた(第207条の2)。
①抗告が不適法であるとき
②抗告に理由がないと認めるとき
③抗告状の写しを送付することが相当でないと認めるとき
この改正は,平成28年1月1日から施行される。なお,3(第47条)及び5(第207条の2)の事項を除き,この改正の施行前に生じた事項にも適用される。ただし,改正の施行前の規定により生じた効力を妨げないこととされた。