裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16・5・28法律第63号)の一部改正(平成27・6・12法律第37号)
1 長期間の審判を要する事件等を裁判員裁判の対象事件から除外
地方裁判所は,第2条第1項各号に掲げる事件について,以下のいずれかに該当するときは,検察官,被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で,当該事件を裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならないこととされた(第3条の2関係)。
(1)公判前整理手続による当該事件の争点及び証拠の整理を経た場合であって,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又はその期間中に裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日等が多数に上ることを回避できないときにおいて,他の事件における裁判員の選任状況等のその他の事情を考慮し,裁判員の選任又は裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき
(2)第2条第1項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じ,かつ,裁判員に選任すべき補充裁判員がない場合であって,その後の審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又はその期間中に裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日等が多数に上ることを回避できないときにおいて,他の事件における裁判員の選任状況等のその他の事情を考慮し,裁判員の選任又は裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき
2 裁判員辞退事由の追加
「重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け,その生活の再建のための用務を行う必要があること」が裁判員辞退事由に追加され,この事由に該当する者は裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとされた(第16条第8号)。
3 非常災害時の呼び出しをしない措置
裁判所は,選定された裁判員候補者のうち,著しく異常かつ激甚な非常災害により,郵便物の配達等が極めて困難である地域又は交通が遮断された地域等に住所を有する者については,裁判員候補者に係る呼び出しをしないことができることとされた(第27条の2関係)。
4 被害者特定事項の取扱い規定の新設
裁判官,検察官,被告人及び弁護人は,刑事訴訟法290条の2第1項又は第3項の決定があった事件の裁判員等選任手続においては,裁判員候補者に対し,正当な理由なく,被害者特定事項を明らかにしてはならないとされた(第33条の2関係)。
5 検討
政府は,この法律の施行後3年を経過した場合において,新法の施行の状況等について検討を加え,必要があると認められるときは,裁判員制度が法制度の基盤としてより重要な役割を果たすものとなるよう,所要の措置を講ずるものとされた(附則第3項)。
この法律は,平成27年12月12日から施行される。

