改正情報 公法部門

自衛隊法(昭和29・6・9法律第165号)の一部改正(平成27・9・30法律第76号)

1 自衛隊の任務(第3条関係)
 自衛隊の任務について定める第3条第1項において,「直接侵略及び間接侵略に対し」との文言が削除され,また同条第2項第1号において,「我が国周辺の地域における」との文言が削除され,任務の範囲が広げられた。

 2 防衛出動(第76条関係)
 内閣総理大臣は,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に際して,我が国を防衛する必要があると認める場合に,自衛隊の出動を命じることができることとされた。

 3 在外邦人等の保護措置(第84条の3関係)
 防衛大臣は,外務大臣から外国における緊急事態に際して生命等に危害が加えられるおそれがある邦人の保護措置を行う依頼があった場合において,外務大臣と協議し,次のいずれにも該当すると認めるときは,内閣総理大臣の承認を得て,部隊等に当該保護措置を行わせることができることとされた。

 (1)当該外国の領域の当該保護措置を行う場所において,当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており,かつ,戦闘行為が行われることがないと認められること。

 (2)自衛隊が当該保護措置(武器の使用を含む。)を行うことについて,当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては,当該機関)の同意があること。

 (3)予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と(1)に規定する当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。

 4 在外邦人等の保護措置の際の権限(第94条の5関係)
 外国の領域において保護措置を行う職務に従事する自衛官は,3(1)及び(2)のいずれにも該当する場合であって,その職務を行うに際し,自己若しくは当該保護措置の対象である邦人若しくはその他の保護対象者の生命若しくは身体の防護又はその職務を妨害する行為の排除のためやむを得ない必要があると認める相当の理由があるときは,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるとされた。ただし,刑法第36条〔正当防衛〕又は第37条〔緊急避難〕に該当する場合のほか,人に危害を与えてはならないとされた。

 5 合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用(第95条の2関係)
 自衛官は,アメリカ合衆国の軍隊等の部隊であつて自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み,現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり,人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができることとされた。ただし,刑法第36条〔正当防衛〕又は第37条〔緊急避難〕に該当する場合のほか,人に危害を与えてはならないとされた。

 6 合衆国軍隊に対する物品・役務の提供(第100条の6関係)

 ・部隊等が第81条の2第1項第2号に掲げる施設及び区域に係る同項の警護を行う場合において,当該部隊等と共に当該施設及び区域内に所在して当該施設及び区域の警護を行う合衆国軍隊(第2号関係)

 ・自衛隊の部隊が第82条の2に規定する海賊対処行動を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該海賊対処行動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第3号)

 ・自衛隊の部隊が第82条の3第1項又は第3項の規定により弾道ミサイル等を破壊する措置をとるため必要な行動をとる場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該行動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第4号)

 ・自衛隊の部隊が第84条の2に規定する機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在してこれらの活動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第6号)

 ・自衛隊の部隊が船舶又は航空機により外国の軍隊の動向に関する情報その他の我が国の防衛に資する情報の収集のための活動を行う場合において,当該部隊と共に現場に所在して当該活動と同種の活動を行う合衆国軍隊(第9号)

 以上の合衆国軍隊に対しても,自衛隊に属する物品・役務の提供を実施できることとされ,その他航空機,船舶又は車両により合衆国軍隊の施設に到着して一時的に滞在する部隊等と共に現場に所在し,訓練,連絡調整その他の日常的な活動を行う合衆国軍隊(第11号)に対しても同様とされた。

 
 この改正は,平成28年3月29日までに政令で定める日から施行される。