改正情報 公法部門

道路交通法(昭和35・6・25法律第105号)の一部改正(平成27・6・17法律第40号)

 最近の交通情勢に鑑み,75歳以上の運転者に対する臨時の認知機能検査制度を導入するとともに,貨物自動車の安全性を高めるため運転免許の種類として準中型自動車免許を新設する等の改正。

 1 高齢運転者対策の推進を図るための規定の新設

 (一) 臨時認知機能検査に関する規定の新設
 公安委員会は,75歳以上の者(免許を現に受けている者に限る)が,自動車等の運転に関し,法令で定める違反行為のうち,認知機能が低下した場合に行われやすいものとして政令で定める違反行為をしたときは,その者に対し,臨時に認知機能検査を行うこととした(第101条の7第1項~第3項)。

 (二) 臨時高齢者講習に関する規定の整備
 公安委員会は,(一)の認知機能検査を受けた者が,検査結果等その他事情を勘案して,認知機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があるものとして一定の基準に該当するときは,その者に対し,高齢者講習(第108条の2第1項第12号(略部分))を行うこととした(第101条の7第4項)。
 
 (三) 臨時適性検査等に関する規定の整備(略)(第102条関係)
 
 (四) 公安委員会は,臨時認知機能検査の対象となった者が当該検査を受検せず,又は臨時高齢者講習の対象となった者が当該講習を受講しなかった場合には,免許を取り消し,又は免許の効力を停止することができることとした(第104条の2の3)。

2 運転免許の種類等に関する規定の整備

 (一) 自動車及び運転免許の種類に関する規定の整備

 (1) 自動車の種類として,新たに「準中型自動車」(車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満の自動車)を設けることとした(第3条関係)。
 (2) 運転免許の種類として,新たに「準中型自動車免許」(以下,「準中型免許」という。)及び「準中型自動車仮免許」(以下,「準中型仮免許」という。)を設けることとした(第84条関係)。
 (3) 第一種免許・第二種免許及び仮免許に関し,準中型自動車についても規定し,準中型自動車を運転しようとする者は準中型免許を,準中型自動車を運転することができる第一種運転免許又は第二種運転免許を受けない練習等のために準中型自動車を運転しようとする者は準中型仮免許をそれぞれ受けなければならないこととした(第85条~第87条関係)。

 (二) 運転免許の欠格事由等に関する規定の整備

 (1) 準中型免許及び準中型仮免許は18歳以上の者に与えることとした(第88条関係)。
 (2) 準中型免許を受けようとする者は,公安委員会が行うその受けようとする運転免許に係る自動車の運転に関する講習及び応急救護処置に関する講習(第108条の2第1項第4号・第8号(略部分))を受けなければならないこととした(第90条の2関係)。

 (三) 再試験等に関する規定の整備 

 (1) 公安委員会は,準中型免許を受けた者で当該免許を受けた日から1年間に違反行為をし,一定の基準に該当することとなった者に対して,再試験を行うものとした(第100条の2関係)。
 (2) 準中型免許を受けた者で,当該準中型自動車免許を受けていた期間が通算して1年に達しないものは,初心運転者標識を付けないで準中型自動車を運転してはならないこととした(第71条の5関係)。

3 その他
 酒気帯び運転又は過労運転等の違反行為をし,よって交通事故を起こして人を死亡させ,又は傷つけたときについても運転免許の効力の仮停止の対象に加えることとした(第103条の2関係)。

 この改正は,平成29年6月16日までに政令で定める日から施行される。ただし,3の改正については,平成27年6月17日から施行される。