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地方自治法(昭和22・4・17法律第67号)の一部改正(平成26・5・30法律第42号)

 

 地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため,地方制度調査会の答申(平成25年6月25日)を踏まえ,指定都市について,区の事務所が分掌する事務を条例で定めることとし,総合区を創設するとともに,指定都市都道府県調整会議に関する制度の創設,中核市制度と特例市制度の統合,連携協約及び事務の代替執行に関する制度の創設等の措置を講ずる改正。
 

1 指定都市制度の見直しに関する事項
(1)区の事務所の分掌事務
 区の事務所が分掌する事務については,条例で定めることとした(252条の20第2項関係)。
(2)総合区の設置
 ① 指定都市(252条の19第1項)は,その行政の円滑な運営を確保するため必要があると認めるときは,市長の権限に属する事務のうち特定の区の区域内に関するものを総合区長に執行させるため,条例で,当該区に代えて総合区を設けることとした(252条の20の2第1項関係)。
 総合区長は,市長が議会の同意を得て選任される(252条の20の2第3項及び4項関係)。
 ② 総合区長は,総合区の区域に係る政策及び企画をつかさどるほか,法律若しくはこれに基づく政令又は条例により総合区長が執行することとされた事務及び市長の権限に属する事務のうち主として総合区の区域内に関するもので条例で定めるもの等を執行し,これらの事務の執行について当該指定都市を代表することとした(252条の20の2第8項関係)。

 

2 指定都市都道府県調整会議の設置に関する事項
(1)指定都市及び当該指定都市を包括する都道府県(以下「包括都道府県」という)は,事務の処理について連絡調整を行うため必要な協議を行う指定都市都道府県調整会議を設けることとした(252条の21の2第1項関係)。
(2)指定都市の市長又は包括都道府県の知事は,252条の21の2第5項に係る協議を調えるため必要があると認められるときは,総務大臣に対し,必要な勧告を行うことを求めることができることとし(252条の21の3第1項関係),総務大臣は,これを国の関係行政機関の長に通知するとともに,指定都市都道府県勧告調整委員会を任命し,当該勧告の求めに係る総務大臣の勧告について意見を求めなければならないこととした(252条の21の3第5項関係)。

 

3 中核市制度と特例市制度の統合に関する事項
 特例市制度を廃止し(旧第2編第12章第3節の削除),中核市の指定要件を人口20万以上とすることとした(252条の22第1項関係)。

 

4 連携協約制度等の創設に関する事項
(1)連携協約制度
 ① 普通地方公共団体は,他の普通地方公共団体と事務を処理するにあたっての連携を図るため,協議によりその基本的な方針及び役割分担を定める協約(以下「連携協約」)を当該他の普通地方公共団体と締結することができることとした(252条の2第1項関係)。
 ② 連携協約に係る紛争があるときは,当事者である普通地方公共団体は,都道府県が当事者となる紛争にあっては総務大臣,その他の紛争にあっては都道府県知事に対し,自治紛争処理委員会による当該紛争の処理方策の提示を求める旨の申請をすることができることとした(252条の2第7項関係)。
(2)事務の代替執行制度
 普通地方公共団体は,他の普通地方公共団体の求めに応じて,協議により規約を定め,当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理・執行することができることとした(252条の16の2第1項関係)。

 

5 その他
 一定の要件を満たした認可地縁団体(260条の2)の所有する不動産について,市町村長が証明書を発行することにより,認可地縁団体が単独で登記手続を行うことができることとした(260条の38及び260条の39関係)。

 
 この改正は,平成28年5月29日までに政令で定める日から施行される。ただし,4に関する改正については,11月29日までに政令で定める日から,3及び5に関する改正ついては平成27年4月1日から施行される。