改正情報 産業法部門

特許法(昭和34・4・13法律第121号)の一部改正(平成26・5・14法律第36号)

 1 救済措置の拡充等
(1) 手続期間の延長に係る規定の整備
 国際的な法制度に倣い,特許法等に基づく手続をする者の責めに帰することができない事由(災害等)が生じたときは,その手続期間を一定の期間に限り延長することができることとした(30条4項・43条6項・44条7項・46条5項,67条の2の2第4項・108条4項・111条3項関係)。

(2) 優先権主張に係る規定の整備
 ① 優先権主張を伴う特許出願について,その優先期間内に当該特許出願をすることができなかったことに正当な理由があるときは,一定の期間(経済産業省令で定める期間)内に限り当該優先権の主張をすることができることとした(41条1項・43条の2第1項関係)。
 ② 優先権の主張をする旨の書面について,出願と同時でなくとも一定期間(経済産業省令で定める期間)内であれば提出できるものとし(41条4項・43条1項関係),その補正についても,一定期間内に限りできることとした(17条・17条の4等関係)。

(3) 特許出願審査の請求期間の徒過に係る救済規定の整備
 特許出願審査の請求について,その請求期間の徒過に正当な理由があるときは,一定の期間内(その理由がなくなった日から2か月以内で請求期間の経過後1年以内)に限り当該請求をすることができるものとするとともに,当該特許出願について特許権の設定の登録があったときは,当該請求期間の徒過について記載した特許公報の発行後から当該請求について記載した特許公報の発行前までの間に,当該特許出願に係る発明の実施を行った第三者は,当該特許権について通常実施権を有することとした(48条の3関係)。

 2 特許異議の申立て制度の創設等

(1) 特許無効審判制度(請求について期間の制限がない)に加え,特許権の早期安定化を可能とするため,特許掲載公報の発行の日から6か月以内に限り,何人も,特許庁長官に対し,特許異議の申立てをすることができることとした(113条関係)。

(2) 特許異議の申立てについての審理は書面審理によるとする(118条。特許無効審判手続は口頭が原則で、書面審理も可能〔145条〕)とともに,審判長は,特許の取消決定(114条)をしようとするときは,特許権者及び参加人(119条)に対し意見書を提出する機会を与え,また,特許権者から特許請求の範囲等の訂正の請求があったときは,特許異議申立人に対し意見書を提出する機会を与えなければならないこととした(120条の5関係)。

(3) 特許無効審判(延長登録無効審判も同様)に係る請求人適格について,利害関係人のみがこれを有することとした(123条)。

この改正は,一部の規定を除き,平成27年5月13日までに政令で定める日から施行される。