少年法(昭和23・7・15法律第168号)の一部改正(平成26・4・18法律第23号)
少年審判手続のより一層の適正化をはかるため,①家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大するほか,②少年に対する刑事事件における科刑の適正化を図るため,少年に対する不定期刑の長期と短期の上限の引上げ等を行う改正。
1 家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲拡大
(1) 家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件を「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」及び「前号に掲げるもののほか,死刑又は無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」(22条の2第1項各号;法23により削除)(3条1項2号に掲げる少年に係る事件であってこれらの罪に係る刑罰法令に触れるものを含む)から「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪」(3条1項2号に掲げる少年に係る事件であってこれらの罪に係る刑罰法令に触れるものを含む)に改め,その範囲を拡大することとした(第22条の3関係)。
(2) 検察官関与制度の対象事件を「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」及び「前号に掲げるもののほか,死刑又は無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」(22条の2第1項各号;法23により削除)から「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪」に改め,その範囲を拡大することとした(第22条の2関係)。
2 少年の刑事事件に関する処分規定の見直し
(1) 罪を犯すとき18歳に満たない者に対し,無期刑をもって処断すべき場合において,有期の懲役又は禁錮を科す場合の刑の上限を「一五年」から「二〇年」に引き上げることとした(第51条2項関係)。
(2) 少年に対する不定期刑の規定の見直し(第52条関係)
① 少年に対して不定期刑を科す事件の対象範囲を「長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきとき」から「有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきとき」に改め,その範囲を拡大するとともに,短期は,長期の2分の1(長期が10年を下回るときは,長期から5年を減じた期間。②においても同じ。)の範囲内を下回ることができないこととした。また,長期と短期の上限について,それぞれ「十年」と「五年」から,「十五年」と「十年」に引き上げることとした。
② ①の短期については,少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは,処断すべき刑の短期の2分の1を下回らず,かつ,長期の2分の1を下回らない範囲内において,これを定めることができることとした。
(3)51条2項の規定により言い渡した有期刑について,仮釈放を許すことができるまでの期間を「三年」から「その刑期の三分の一」に改めることとした。
この改正は,平成26年5月8日から施行される。但し,1の改正については,6月18日から施行される。


