改正情報 産業法部門

著作権法(昭和45・5・6法律第48号)の一部改正(平成26・5・14法律第35号)

 1 電子書籍に対応する出版権の創設
(1) 出版権の設定に関する改正
 複製権等保有者(複製権又は公衆送信権を有する者)は,その著作物について,以下の行為を引き受ける者に対して出版権を設定できることとされた(79条関係)。
 ① 文書若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し,当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む)
 ② 当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行うこと(放送又は有線放送を除き,自動公衆送信の場合にあっては送信可能化を含む)
(2) 出版権の内容
 出版権者は,設定行為で定めるところにより,その出版権の目的である著作物について,以下に掲げる権利の全部又は一部を専有することと規定された(80条関係)。
 ① 頒布の目的をもって,原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書若しくは図画として複製する権利(原作のまま電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む)
 ② 原作のまま電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利
(3) 出版の義務
 (2)②の公衆送信を行う権利に係る出版権者は,以下の義務を負うこととされた(81条関係)。
 ① 原稿等の引渡し又は提供を受けた日から6月以内にその出版権の目的である著作物について公衆送信を行う義務
 ② 出版権の目的である著作物について慣行に従い継続して公衆送信行為を行う義務
(4)義務に違反した場合
 出版権者が上記の義務に違反したときは,複製権等保有者は,出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる((3)②の義務については,複製権等保有者が,3月以上の期間を定めて催告したにもかかわらず,履行されなかった場合)とされた(84条関係)。

 2 保護を受ける実演(7条)の追加
 「視覚的実演に関する北京条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家による実演」が著作権法上の保護を受ける実演に追加された(7条8号関係)。

 この改正は,平成27年1月1日から施行される。ただし,2に関する規定は視聴覚的実演に関する北京条約が日本国において効力を生ずる日から施行される。