独占禁止法(昭和22・4・14法律第54号)の一部改正(平成25・12・13法律第100号)
(1)審判制度の廃止(旧52条~68条,70条の2~70条の4,70条の6,70条の7,70条の15関係)
公正取引委員会が行う審判制度を廃止した。
(2)排除措置命令等に係る意見聴取等,処分前手続規定の整備(新49条~64条関係)
①排除措置命令等の当事者に対する意見聴取(新49条,50条関係)
公正取引委員会は,排除措置命令又は課徴金納付命令をしようとするときは,当該命令の名宛人となるべき者(以下,「当事者」という)について,意見聴取を行わなければならないこととし,公正取引員会は,意見聴取を行うべき期日までに,予定される排除措置命令の内容(納付命令の場合は,納付を命じようとする課徴金の額),公正取引委員会の認定した事実及び法令の適用納付命令の場合は,課徴金の計算の基礎及び課徴金に係る違反行為),意見聴取の期日及び場所,意見聴取に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地等を書面により通知しなければならないこととした。
②公正取引員会が認定した事実を立証する証拠について閲覧・謄写を求めることができる規定(新52条関係)
当事者は,意見聴取手続の終結までの間,公正取引委員会が認定した事実(納付命令の場合は,課徴金の計算の基礎及び課徴金に係る違反行為)を立証する証拠について閲覧又は謄写(謄写の対象については,公正取引員会規則で定めるものに限られる)を求めることができることとした。
③指定職員制度(新53条関係)
意見聴取は,公正取引員会が事件ごとに指定する職員(以下,「指定職員」という)が主宰するものとし,公正取引員会は当該事件の審査官の職務や調査等を行ったことのあるものを「指定職員」とすることができないことした。
④意見聴取手続における審査官等の説明義務規定(新54条1項関係)
指定職員は,当該意見聴取に係る事件について審査官等に予定される排除措置命令の内容等(納付命令の場合は,納付を命じようとする課徴金の額等)を意見聴取の期日に出頭した当事者に対し説明させなければならないこととした。
⑤意見聴取手続において質問や口頭による意見申述ができる規定(新54条2項関係)
当事者は意見聴取の日に出頭して意見を述べ,証拠を提出し,指定職員の許可を得て審査官等に質問をすることができることとした。
(3)排除措置命令に係る訴訟手続
審判制度の廃止に伴い,排除措置命令等に係る抗告訴訟等は,東京地方裁判所の専属管轄とすることとした。また,審理裁判は,三人の裁判官の合議体で行うこととし,五人の裁判官の合議体で行うこともできることとした(新85条・86条関係)。
そのほか,公正取引委員会の認定した事実は,これを立証する実質的証拠がある場合に裁判所を拘束する第80条,新証拠の提出制限を定めていた第81条など証拠に関する規定も削除された。
この改正は公布の日(平成25・12・13)より1年6月を超えない範囲内において,政令で定める日から施行される。