改正情報 産業法部門

金融商品取引法(昭和23・4・13法律第25号)の一部改正(平成26・5・30法律第44号)

 
1 上場企業の資金調達に係る規制の見直し

(1) 虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者に係る賠償責任について,損害賠償の請求権者に有価証券の取得者を処分した者を加えることとしたほか,現行の無過失責任を変更し,提出者が故意又は過失がなかったことを証明したときには賠償の責めに任じないこととした(第21条の2関係)。

 

(2) 発行登録書に参照書類の提出期限が記載されている場合であって,当該参照書類が当該提出期限までに提出された場合には,訂正発行登録書の提出を不要とすることとした(第23条の4関係)。

 

(3) 上場企業の株式の大量保有者は,「株券等保有割合」が5%超となった日から,5営業日以内に「大量保有報告書」を提出しなければならないこととされているが(大量保有報告制度),「自己株式」については,当該上場企業は議決権を有しないため,「大量保有報告書」を提出させる必要性は,通常の株式に比べ限定的であることから,大量保有報告書等の提出の要否の基準となる保有株券等の総数から,自己株式を除外することとした(第27条の23第4項関係)。

 

(4) 大量保有報告制度における短期大量譲渡報告の記載事項から,僅少な株券等の譲渡先に関する事項を除外することとした(第27条の25第2項関係)。

 

(5) 大量保有報告書等の提出日の前日までに新たな提出事由が生じた場合について,当該新たな提出事由に係る変更報告書を当該大量保有報告書等と同時に提出することを求める旨の規定を削除し,当該新たな提出事由が生じた日から5営業日以内の提出を求めることとした(第27条の25第3項関係)。

 

(6) 訂正報告書の公衆縦覧期間の末日を,訂正の基礎である大量保有報告書等の公衆縦覧期間の末日と同一とした(第27条の28関係)。

 
2 インターネットを通じた資金調達を取り扱う金融商品取引業者等に係る規制の整備(略部分)
3 金融商品取引業者等に対する規制の見直し(略部分)
4 事業年度規制の見直し(略部分)
5 取扱有価証券の範囲の見直し(略部分)
6 金融商品取引所の業務の追加(略部分)
7 金融指標に係る規制の枠組みの整備

(1) 特定金融指標算出者に対する指定制の導入
 ① 内閣総理大臣は,金融指標であって,その信頼性が低下することにより,我が国の資本市場に重大な影響を及ぼすおそれがあるものを「特定金融指標」として定めることとした。(第2条第40項関係)
 ② 内閣総理大臣は,特定金融指標算出業務(特定金融指標の算出及び公表を行う業務をいう)を行う者のその業務の適正な遂行を確保することが公益又は投資者保護のため必要であると認められるときは,当該者を「特定金融指標算出者」として指定することができることとした(第156条の85関係(略部分))。

 

 (2) 金融商品取引業者等による不正な算出基礎情報の提供の禁止

 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は,自己又は第三者の利益を図る目的をもって,特定金融指標算出者に対し,正当な根拠を有しない算出基礎情報を提供する行為をしてはならないこととした(第38条関係)。

 
8 新規上場に伴う規制の見直し

 内部統制報告書に対する監査を免除する場合として,上場有価証券の発行者に該当することとなった日から3年を経過する日までの間に内部統制報告書を提出する場合を追加することとした(第193条の2第2項関係)。

 
9 無体財産の没収手続の整備(略部分)
 
 この改正は,上記改正部分については,平成27年5月29日までに政令で定める日から施行される。