公職選挙法(昭和25・4・15法律第100号)の一部改正(平成25・5・31法律第21号)
改正の概要
成年後見制度において後見人が付いた知的障害者らも選挙に参加できるよう,成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないものとする公職選挙法第11条の排除規定を一部削除規定とする改正。憲法改正国民投票の投票権についても成年被後見人は投票権を有しないものとする日本国憲法の改正手続に関する法律第4条及び第5条の規定を削除規定とし,成年被後見人に投票権を認めた。
Ⅰ 公職選挙法の一部改正
1 成年後見人に係る選挙権及び被選挙権の欠格条項の削除
成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないものとする第11条第1項第1号の規定を削除規定とする。
2 代理投票における補助者の要件の適正化等及び不在者投票における公正確保の努力義務
(1) 代理投票の要件に係る第48条第1項の文言を「身体の故障又は文盲により自ら公職の候補者の氏名等を記載することができない」から「心身の故障その他の事由により自ら公職の候補者の氏名等を記載することができない」に改めることとする。
(2) 不正投票を防止するため,第48条第2項に「投票所の事務に従事する者のうちから」を加え,代理投票における補助者を限定することとする。
(3) 不在者投票の公正確保のため,努力規定として第49条に第9項を加え,不在者投票管理者は,市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせることその他の方法により,不在者投票の公正な実施の確保に努めなければならないこととする。
(第1条による改正)
Ⅱ 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律の一部改正(第2条による改正;略)
Ⅲ 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部改正
1 成年被後見人に係る憲法改正国民投票の投票権の欠格条項の削除
前述のⅠ1と同様,憲法改正国民投票の投票権においても成年被後見人は,国民投票の投票権を有しないとする第4条及び第5条(市町村長は,第4条の規定により投票権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは,遅滞なくその旨を当該他の選挙管理委員会に通知しなければならないとする規定)を削除規定とする。
2 代理投票における補助者の要件の適正化等及び不在者投票における公正確保の努力義務
前述のⅠ2と同様,憲法改正国民投票の投票権においても代理投票における補助者の限定(憲改第59条第1項及び第2項),不在者投票の公正な実施の確保の努力義務(憲改第61条;略)を加えることとする。
(第3条による改正)
Ⅳ 地方自治法の一部改正
前述のⅠ2(1)と同様,条例の制定又は請求及びその処置における請求者の署名簿の署名について第74条第8項の「身体の故障又は文盲」を「心身の故障その他の事由」に改め,違法署名運動の罰則についても第74条の4第3項の「身体の故障若しくは文盲」を「心身の故障その他の事由」に,同条第4項「身体の故障又は文盲」を「心身の故障その他の事由」に改めることとする。
(附則第3条による改正)
Ⅴ 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正(附則第4条による改正;略)
Ⅵ 農業委員会等に関する法律の一部改正(附則第5条による改正;略)
Ⅶ 市町村の合併の特例に関する法律の一部改正(附則第6条による改正;略)
この改正は,平成25年7月1日から施行される。