犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12・5・19法律第75号)の一部改正(平成25・6・12法律第33号)
改正の概要
刑事被告事件の手続への参加に伴う被害者参加人の経済的負担を軽減するための改正。公判期日又は公判準備に出席した被害者参加人に対し国が被害者参加旅費等を支給する制度を創設するとともに(新第5条),これに関する事務を日本司法支援センターに委任することとするほか(新第8条第1項),裁判所に対する被害者参加弁護士の選定の請求に係る資力要件を緩和する(新第11条,現第5条第1項)。
1 被害者参加旅費等の支給制度の創設(新第5条)
被害者参加人(刑訴第316条の33第3項に規定する被害者参加人)が刑事訴訟法第316条の34第1項(同条第5項において準用する場合を含む)の規定により公判期日又は公判準備に出席した場合には,法務大臣は,当該被害者参加人に対し,旅費,日当及び宿泊料(以下「被害者参加旅費等」という)を支給することとし(第1項),その額については,政令で定めることとした(第2項)。
2 被害者参加旅費等の請求手続(新第6条)
(1) 被害者参加旅費等の支給を受けようとする被害者参加人は,所定の請求書に法務省令で定める被害者参加旅費等の算定に必要な資料を添えて,これを,裁判所を経由して,法務大臣に提出しなければならないこととした(第1項)。
(2) 裁判所は,第1項により請求書及び資料を受け取ったときは,当該被害者参加人が刑訴法第316条の34第1項の規定により公判期日又は公判準備に出席したことを証明する書面を添えて,これらを法務大臣に送付しなければならないこととした(第2項)。
3 日本司法支援センターへの被害者参加旅費等の支給に係る法務大臣の権限に係る事務の委任(新第8条)
被害者参加旅費等の支給(新第5条)及び請求の受理等の法務大臣の権限に係る事務(新第6条第1項)を,日本司法支援センター(総合法律支援法第13条に規定する日本司法支援センター)に行わせることとした(第1項)。
4 被害者参加弁護士の選定の請求に係る要件の緩和(新第11条,現第5条)
被害者参加弁護士の選定の請求における被害者参加人の資力要件について,被害者参加人の資力を算定する際に被害者参加人の資力からその控除する額(手続への参加を許された刑事被告事件に係る犯罪行為により生じた負傷又は疾病の療養に要する費用その他の当該犯罪行為を原因として請求の日から支出することとなると認められる費用の額)を3月以内から6月以内とし,基準額(一般に被害者参加弁護士(被害者参加人の委託を受けて刑訴法第316条の34から第316条の38までに規定する行為を行う弁護士)の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額)において勘案する標準的な必要生活費を3月間から6月間として,被害者参加弁護士の選定の請求に係る被害者参加人の資力要件を緩和した。
(以上,第1条による改正)
この改正は,平成25年12月11日までに政令で定める日から施行される。