「補遺」について


 現在ではほとんどありませんが,以前は,製版・印刷に時間がかかったため,刊行期日に間に合わせるために編集締切期日前に製版・印刷を開始したことがありました。この編集締切期日以前に印刷した部分に含まれる法令に改正があった場合,刷り直しはできませんので,別の小冊子に公布されたその法令の一部改正を掲載していました。これで,織り込めなかった改正内容を補っていたわけです。

 また,この小冊子では,編集締切期日以降に公布された収録法令の改正で重要なもの,編集締切期日後確定した新法令や一部改正法令の施行期日についてもお知らせしていました。

 補遺とは,“もらし落とした事柄を,拾い補うこと。また,その補ったもの”[広辞苑第五版]より)を指す言葉です。もらし落としたものを補っただけではありませんが,有斐閣六法でこの小冊子を,「補遺」と呼んでいます。

 ところで,有斐閣六法では,法令が公布されれば,それを織り込んで刊行しています。しかし,ときには(最近はしばしば)その法令の施行日が,六法の発売日よりずっと先になることがあります。この場合に,効力をもっているのは改正前の条文になりますが,六法にのっているのは改正を織り込んだ条文で,実際に効力をもっている条文が六法にのっていないというのでは非常に不便が生じます。そこで,効力をもつ旧条文で,次の年版が出るまでに施行されるものをこの小冊子「補遺」に「旧規定」として掲載することにしています。(なお,次の年版が出ても施行期日がきていないものは,本体の新条文の次に小さな字でのせています。)

 Web版「補遺」は,これまでの小冊子版をそのまま弊社のWebサイト上で見られるようにしたものです。有斐閣六法それぞれの刊行時に新しい年版に切り替えてUPしてまいります。

 掲載した旧規定のうち,施行期日が「○月内に政令で定める日施行」「□□法の施行の日施行」など,確定していないものもあります。Web版「補遺」は,年の中途で改訂をすることはありませんので,刊行後期間の経過によって,これらの旧規定中,改正法令が施行され(旧規定は改正された後の「現在は効力持たない規定」となります。),有斐閣六法本体にある条文が効力を持つようになるものもあります。法令の適用にあたっては未施行か既施行かを「施行期日決定のお知らせ」でご確認ください。