特定商取引に関する法律(昭和51・6・4法律第57号)の一部改正(平成28・6・3法律第60号)
1 指定権利の見直し・改称
訪問販売,通信販売及び電話勧誘販売において規制対象となる権利の範囲を改め,その名称も「指定権利」から「特定権利」に改められた。また,特定権利に関する適用除外に係る規定等が整備された(第2条第4項及び第26条第2項関係)。
2 承諾をしていない者に対する通信販売ファクシミリ広告の提供の禁止等
通信販売において販売業者等は,その相手方となる者からの請求又は承諾がない場合に,ファクシミリ広告をしてはならないこととされた(第12条の5関係)。
3 電話勧誘販売に係る通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込みの撤回等の制度の創設
電話勧誘販売において,その日常生活で通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込者等は,申込者等に当該契約を必要とする特別の事情があったときを除き,その売買契約等の申込みの撤回等を行うことができることとされた。また,当該申込みの撤回等の行使及び当該申込みの撤回等に伴う返金等に係る所要の規定を整備することとした(第24条の2関係)。
4 指示制度の整備
本制度の対象となる販売業者等の違反行為類型に係る規定を整備し,またそのような違反行為等を行った販売業者等に対して指示できる措置として,「違反及び行為を是正するための措置及び購入者等の利益の保護をする措置」との文言が追加された。さらに主務大臣は,販売業者等に対して指示を行ったときは,その旨を公表しなければならないこととされた(第7条,第14条,第22条,第38条,第46条,第56条及び第58条の12第2項関係)。
5 業務停止命令制度の強化
主務大臣が販売業者等に対して業務の停止を命ずることができる期間の上限を1年から2年に改められた(第8条第1項,第15条第1項,第23条第1項,第39条第1項~第3項,第47条第1項,第57条第1項及び第58条の13第1項関係)。
6 業務禁止命令制度の創設
主務大臣は,販売業者等に対して業務の停止を命ずる場合において,当該命令の理由となった事実及び当該事実に関して当該販売業者等の役員等が有していた責任の程度を考慮して当該命令の実効性を確保するために当該停止を命じた取引類型に関する業務を制限することが相当と認められる場合には,当該役員等に対し,当該停止と同一の期間を定めて,当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること等の禁止を命ずることができることとされた(第8条の2第1項,第15条の2第1項,第23条の2第1項,第39条の2第1項~第3項,第47条の2第1項,第57条の2第1項及び第58条の13の2第1項関係)。
7 訪問販売等における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消制度の整備
(1)申込者等は,販売業者等が不実のことを告げる行為等をしたことによって意思表示を行った場合,追認することができる時から6か月間,これを取り消すことができることとされているところ,当該期間を1年間に改めることとされた。
(2)売買契約等に基づく債務の履行として給付を受けた申込者等が意思表示を取り消した場合において,給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは,当該売買契約等によって現に利益を受けている限度において,返還の義務を負うこととされた(第9条の3,第24条の3,第40条の3,第49条の2及び第58条の2関係)。
8 報告徴収及び立入検査権限の拡充・整備(第66条関係)(略)
9 送達制度の整備(第66条の3~第66条の6関係)(略)
10 罰則の強化(第70条~第74条関係)(略)
この改正は,平成29年12月2日までに政令で定められる日から施行される。ただし,7(2)については,第189回国会に内閣より提出された「民法の一部を改正する法律案」の成立後,官報にて公布される日より施行される。