特許法(昭和34・4・13法律第121号)の一部改正(平成27・7・10法律第55号)
発明の奨励に向けた職務発明制度の見直し及び特許料等の改定を行うとともに,特許法条約(第189国会・内閣提出条約第5号)の実施のための規定の整備を行う改正。
1 職務発明制度の見直し(第35条関係)
(1)従業者等がした職務発明について,契約,勤務規則その他の定めにおいて,あらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは,その特許を受ける権利は,その発生した時から当該使用者等に帰属することとされた(第3項関係)。
(2)従業者等は,契約,勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させた場合には,相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有することとされた(第4項関係)。
(3)経済産業大臣は,発明を奨励するため,産業構造審議会の意見を聴いて,相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況等について指針を定め,これを公表することされた(第6項関係)。
2 特許法条約実施のための規定の整備
(1)第36条の2第2項に規定する期間内に外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかったときは,特許庁長官が外国語書面出願の出願人に対し,その旨を通知するとともに,その通知を受けた者は,その期間が経過した後であっても,経済産業省令で定める期間内に限りその翻訳文を提出することができることとされた(第36条の2関係)。
(2)特許を受けようとする者は,願書に明細書及び必要な図面を添付することなく,その者がした特許出願(外国においてしたものを含む)を参照すべき旨を主張する方法により,特許出願をすることができることとし(第38条の3関係),特許出願の日を認定できない場合や明細書又は図面の一部が欠けている場合に,経済産業省令で定める期間内に限り,補完できる手続規定を整備することとされた(第38条の2・第38条の4関係)。
3 特許料の改定
特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者が納付する特許料を特許権の設定登録以降の各年において,10%程度引き下げることとされた(第107条関係)。
この改正は,平成28年7月9日までに政令で定める日から施行される。